顔の筋肉は目の周りと口の周りの筋肉があり、普段は自分の意思で動かしています。
しかし脳の顔面神経に小さな血管が当たり、自らの意思とは関係なく顔の片側がピクピクと痙攣を起こす場合があります。
この症状が頻繁に起こる病気を片側顔面痙攣(へんそくがんめんけいれん)と言います。
片側顔面痙攣の要因に、遺伝はありません。
中年以降、動脈硬化を伴うことにより硬くなった血管に神経が圧迫され、症状が悪化していくと考えられています。
症状の特徴は、目の周りの筋肉と口の周りの筋肉が一緒に動くことです。
顔面痙攣の治療は、薬物内服療法とボトックス療法、手術の3つに分かれます。
まずは、痙攣を起こす不随意運動を抑えるために投薬を行います。
しかし、症状が改善されない場合も多くあります。
第二に痙攣を起こす筋肉を麻痺させる、ボトックスを注入する方法があります。
有効期間は数カ月程度ですが、筋肉を麻痺させるため同時に顔面の麻痺が起こり、痙攣を起こしていた側の顔面の動きが鈍くなることがあります。
そして第三に、手術です。顔面痙攣の手術としては、耳の後ろを切開し、顔面神経を圧迫している血管を移動させる神経血管減圧術があります。
顔面痙攣自体は機能性疾患であるため命に係わる病気ではありません。
しかし、痙攣のため自分の社会生活に影響が出ていて治したいと思う場合は、手術を行います。
神経血管減圧術は全身麻酔を行うため、手術自体に3~4時間程度かかります。
入院期間は10日~2週間ほどです。
顔面神経は音を聞く蝸牛神経と隣り合っているため、手術により聴力が落ちるリスクがあります。
それを防ぐため、手術中はモニタリングを行っています。そして、聴力が落ちるような兆候が出たら中断し、様子を見て再開するよう安全に努めていますので、ほとんど起こりません。