良性脳腫瘍とは

脳腫瘍は、他の臓器と異なり、良性脳腫瘍の方が悪性腫瘍より多く見られます。

良性脳腫瘍は全摘出できれば完治が期待できますので、治療法としての手術は大変重要です。

良性脳腫瘍の種類としては、脳の表面の膜（硬膜）から発生する髄膜腫、脳の下垂体のところに出来る下垂体腺腫、音を聞く神経のすぐ近くに出来る聴神経腫瘍などがよく見られます。

その原因に遺伝は通常は関係ありません。

良性脳腫瘍の手術

下垂体腺腫の手術についてお話します。

下垂体腺腫の手術では、鼻の穴から内視鏡を入れて腫瘍を取ることが可能になり、非常に低侵襲になっています。

脳下垂体は脳内の鼻の奥の部分に位置しています。

その部分に直径4㎜の内視鏡を差し込んで、鼻の中からのみで手術を終えることができるようになりました。

内視鏡の場合、患部のすぐそばに辿り着くことができるため、腫瘍の取り残しのリスクが大幅に軽減されるのが大きなメリットです。

また正確な手術の位置を把握するナビゲーションシステムにも最先端の技術が使われています。

下垂体腺腫以外の良性脳腫瘍の手術においても、顕微鏡、ナビゲーション、術中モニタリングなどを用いて安全で確実な手術を行っています。

良性脳腫瘍の再発

腫瘍がすべて取り除かれた場合、再発はほとんどありません。

神経等に腫瘍が付着している場合は無理に取ってしまうと後遺症が出る場合があるため、モニタリングをしながら術中に判断し、少し腫瘍を残して手術を終わらせる場合があります。

その場合は術後定期的にMRIなどの画像診断を行い、腫瘍が増大するようであれば、ピンポイントで放射線を当てるガンマナイフ、あるいはサイバーナイフなどの定位的放射線療法という治療を追加することがあります。