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Dr.MICHIYUKI MIYAMOTO's
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宮本 倫行 先生

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未破裂脳動脈瘤について

未破裂脳動脈瘤とは

 未破裂脳動脈瘤は症状が出ることはほぼありません。そのため脳ドックを受けた際や、頭痛、その他の病気の検査でたまたま見つかることが多い病気です。稀に大きい動脈瘤であると症状を伴って、複視(ものが二重に見える)等の症状を起こすものもありますが、多くの場合患者さん自身で気づくことがありません。そのため患者さんとしては何が問題なのか分かりにくい病気の1つであると思います。

 未破裂脳動脈瘤があること自体によって症状が出ることはほぼありませんが、脳動脈瘤は破裂する可能性があり、破裂するとくも膜下出血になります。くも膜下出血になってしまうとおよそ3分の1の方がお亡くなりになってしまいます。命が助かった場合でもその半数の方に後遺症が残って寝たきりになってしまい、半数の方が社会復帰するという風に言われています。

 では未破裂脳動脈瘤が見つかったら予防のためにすべて取り除いてしまうかというと、必ずしもそうではありません。未破裂脳動脈瘤は薬を飲んだり、放射線をあてることで治療することができず、開頭手術、あるいはカテーテル治療でしか治療することができません。どちらの治療の場合にもリスクがあるので、破裂するリスクと手術をするリスクとを十分に天秤にかけて考えながら治療するか、治療を受けないで経過観察をするかを決めることがポイントになります。

1つ動脈瘤ができると他の場所にもできやすくなるのか

 すでに動脈瘤がある方、くも膜下出血になったことがある方は動脈瘤が他の場所にも新たにできやすいということがわかっています。動脈瘤がない人と比べて10倍程度できやすくなるというデータもあります。普通の人にできる可能性自体が高いわけではないので、そこまで過敏になる必要はありませんが、普段診療で診ていても実際そのような印象があります。

コイル塞栓術とクリッピング術の選択

 未破裂脳動脈瘤の治療を考えるにあたっては、まずカテーテル検査で動脈瘤の形状や場所、そこへいくまでの道のりを詳しく検査し、治療リスクの評価を行います。これは動脈瘤の破裂リスクが分かっていても治療リスクが分からなければ治療した方が良いかどうかの判断ができないためです。治療をするという判断に至った場合、次にクリッピングによる治療リスクとカテーテル治療による治療リスクを考えます。私は最近はクリッピング手術を行なってはおりませんが元々は脳神経外科医としてクリッピングを志してやってきた中でクリッピング手術の全体像と合併症については理解しています。それを踏まえてコイル塞栓術が同等以上の治療成果を得られそうであれば基本的にコイル塞栓術の方が良いだろうと考えて患者さんに説明しています。

コイル塞栓術を受ける際の流れ

 当院は月曜日が手術日となっています。コイル塞栓術の治療を受けていただく患者さんには週末に入院していただき、多くの場合は、月曜日の朝から手術になります。手術は特別な理由がなければ何かトラブルがあった場合に備えて全身麻酔で行います。手術時間は多くの方は3時間以内で終わり、お昼過ぎには手術が終わって病棟に戻るという形になります。手術時間が短く済み、比較的元気な方に関しては、その日の夜ご飯から食事をしていただいています。年齢と体力にもよりますが術後3日4日程度の入院で退院する人が多いです。

 退院後、短い人の場合は次の週の月曜日から仕事し始める人もいらっしゃいます。ただ、医師としては手術をした後なので、退院して2週間後に外来に来てもらってその後に仕事始めたらどうですかとお話しています。

 また手術に向けて、すべての患者さんに抗血小板薬という血液をサラサラにする薬を2種類服用していただいています。この薬は1週間程度では効果がでないと言われているので、私の方針としては手術の3週間前から服用していただくようにしています。裏を返すと3週間薬を服用していただく必要があるのでコイル塞栓術の治療は3週間後までは行えないということになります。

治療の流れ

治療を選択する際に気をつけていること

 当院においてはコイル塞栓術で治療を行うことが多く、およそ8割程度の患者さんがコイル塞栓術で治療をされています。コイル塞栓術等のカテーテル治療は良い面だけがクローズアップされることが多いと思いますが、合併症のリスクについても十分に理解していただいた上で治療を受けていただけるよう心がけています。また、私はカテーテル治療が得意なのでそちらに方針が偏ってしまわないようにクリッピングも検討した方が良さそうな場合はクリッピングが得意な先生にも相談して、クリッピングについての話も聞いた上で選んでもらうようにしています。

未破裂脳動脈瘤治療の理想像・将来像について

 理想像としては安全性が増すことが何よりも望まれることだと思います。この治療が安全であればあるほど動脈瘤は治療するという選択を取ることが患者さんのリスクをより減らすことになると思いますので、とにかく安全になれば良いと思います。

 安全性を増すためには、治療に使用する道具がより進歩していくことが1つ大切なポイントだと思います。もう1つ大事だと思うのは、医者はカテーテル治療を行う際、被曝しながら治療を行なっているという点です。放射線被曝のガイドラインが厳しくなると1人の医師が行える症例や時間が限られ、結果として患者さんの治療に影響が出てしまいます。そのような事態を解消するため、離れた場所から医師が被曝しなくてもカテーテル治療を行えるようになればいいなと思ってます。最後に、根治性をあげるということです。この病気は再発することがありますので安全で再発を防げるような道具がでてくることを願っています。

 10年前を考えるとコイル塞栓術というのはまだ市民権を得ておらず、症例数は多くありませんでした。しかし近年コイル塞栓術の症例数が増えてきており、今はちょうど未破裂動脈瘤に対する治療としてクリッピングとコイル塞栓術の症例数が同等レベルになったと言われています。ここから10年先を見るとコイル塞栓術が症例数の7割から8割程度を占めてくるのではないかと思います。そうなるためにも治療の安全性、根治性は高めていく必要があると思っています。