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宮本 倫行 先生

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くも膜下出血について

くも膜下出血について

 くも膜下出血は9割以上が未破裂脳動脈瘤の破裂によるものです。残りの1割弱はその他の病気、もやもや病、脳動静脈奇形や硬膜動静脈瘻といった病気から発症します。また、未破裂脳動脈瘤には基本的に自覚症状がありませんので、くも膜下出血は発症するまでの前兆がほぼない中で治療をするかどうかを決めなければならないのが患者さんにとって悩ましいところだと思います。

 外的要因によるくも膜下出血のリスクとしては一般的には気圧や気温の変化がくも膜下出血を起こしやすくすると言われています。時間帯がリスクになることはありませんが、家族の人が起きてる時間の方が気づかれやすいので病院に患者さんが搬送されるのは朝6時あたりから夜10時ごろが多いと思います。

治療について

 くも膜下出血の治療としてはガイドライン上は48時間以内に治療を行うということになっていますが、日本ではおそらくどの病院でもできるだけ早く治療しようというのが前提にあると思います。ただし特別に難しい動脈瘤の場合は、その限りではなくて戦略などに多少時間をかけることがあります。

 くも膜下出血の治療を受ける患者さんは動脈瘤の一部が破裂し出血したものの、そこにかさぶたができて血は止まっている状態です。もし出血が続いている場合はお亡くなりになってしまうので、血が止まっているということが治療の前提になります。くも膜下出血の治療と聞くとその出血を取らないといけないと思う方もいらっしゃるかもしれませんが、出血を取ることは自体はあまり重要ではありません。

 治療にあたって重要なことは5つあります。まずは、血が止まっているとは言え、かさぶたが破れてしまうとまたくも膜下出血を起こしてしまいますので、再破裂を予防するために48時間以内に動脈瘤の処置をするというのが第1ステップになります。

 次に、出血したことが原因で1〜2週間後に脳血管攣縮(のうけっかんれんしゅく)と呼ばれる血管が細くなってしまう症状が生じることがあります。血管が細くなることで今度は脳梗塞になってしまう可能性がありますので、そうならないように点滴治療を行います。どうしてもひどい場合はカテーテルで血管を広げる場合もありますが、そう言った脳血管攣縮に対して治療を行なっていくことが重要です。

 また頭には水が流れていて循環をしているのですが、出血を起こすとその水の流れが悪くなってしまうため水の流れをコントロールする必要があります。お風呂の排水溝の詰まりのように出血したことによって頭の中に水が溜まってしまったらその水を他の場所に逃してあげるシャント手術という治療が必要になる可能性があります。

 4つめのポイントとしては感染症のコントロールです。くも膜下出血は2週間程度治療が必要となりますが、多くの方がベッドに寝たまま2週間生活することになります。その生活というのは我々の普段の生活とだいぶ異なりますので高確率で感染症になってしまいます。さまざまな感染症のリスクがありますがこの感染症が馬鹿にはできませんので、感染症にならないようしっかりとコントロールするというのが重要なポイントだと思います。

 最後のポイントとしては出血による脳のダメージを考えるということです。くも膜下出血はその出血により脳がダメージを受けてしまいます。ダメージが酷いほど発症前と同じ状態に戻りにくくなりますし、ダメージが軽いほど他の治療がうまくいけば元気になる可能性があります。よりダメージを軽くするために管を入れて適宜血を取り除くという作業を行います。ただしこの治療自体がくも膜下出血の治療の本体になるわけではありません。

治療後のリハビリについて

 くも膜下出血の治療後は患者さんの後遺症とか症状にもよりますが、軽い方の場合は2週間から3週間で脳血管攣縮の時期が終わった後に自宅に帰られる患者さんもいらっしゃいます。その場合は1ヶ月から2ヶ月後あたりから働くことができるようになります。重傷で手足の麻痺があったり、ご飯が食べられないという患者さんの場合は回復期リハビリ病院でのリハビリが必要になります。当院のような急性期病院でもリハビリはしていますが回復期リハビリ病院では保健システム上急性期病院の2.5倍リハビリをして良いことになっています。そのためそういう病院に移ってリハビリを続けていくことで社会復帰を目指すというのが一般的な流れだと思います。

治療の選択気をつけていること

 当院ではくも膜下出血に関しては9割近くをカテーテル治療で行います。くも膜下出血は脳出血を伴うことがありますのでそういった場合については血腫をとらないといけないので手術を行います。多くの治療をカテーテル治療で行う理由としては血管の中は出血しても何も環境は変わらないのですが、血管の外は出血すると血だらけになってしまい手術中に何も見えなくなってしまうということがあります。つまりカテーテル治療は血管の中で行うため、出血をしても見えやすさに影響はでないのですが、外科的な手術の場合、出血により見えなくなると治療が難しくなってしまうという性質の違いが出てくるということです。そういったことを踏まえカテーテル治療を選択することが多くなっています。

くも膜下出血に対する治療の将来像、理想像について

 くも膜下出血については、実はこの30年ほど治療成績があまり変わっていないといわれています。そのためこの治療成績をあげるためにはどう治療するべきかということを考えていくべきだと思っています。出血による脳へのダメージを少しでも和らげるような薬や治療が出てくることが願われます。