心臓は厚さ1cmの筋肉でできており、全身へ血液を送るポンプの役割として1日10万回もの鼓動を繰り返しています。血液を送るため血管は冠動脈と呼ばれますが、その血管が動脈硬化によって血流障害を起こし、血液が正常に流れない状態が「虚血性心疾患」という病気です。
虚血性心疾患は大きく分けて、「心筋梗塞」と「狭心症」があります。
■心筋梗塞
心筋梗塞とは、冠動脈が完全に詰まってしまうことにより、心臓の筋肉への血流がストップしてしまった状態です。心臓の筋肉は血液が不足すると壊死してポンプの役割が果たせなくなってしまい、最悪の場合、命を落とすこともあります。
症状としては、今までに経験したことのないような胸の激痛が襲います。基本的に心臓の筋肉は、一度壊死してしまうと再生は難しく、そのため、治療が成功しても後遺症が残ることがあります。
■狭心症
狭心症とは、血管が狭くなることで血流が阻害されている状態です。階段を上ったり、運動を行ったときなど、心臓に一定以上の負担をかけると胸の違和感や圧迫感、痛みが生じることがあります。
また、症状として首回り、あご周辺、肩などに痛みが出る場合もあります。
狭心症の場合、心臓の筋肉が壊死に至らないため、心臓の機能は損なわずに治療することが可能です。
虚血性心疾患の原因の多くは、動脈硬化による血流障害です。危険因子は糖尿病、肥満、コレステロール、高血圧、喫煙などとなります。
男性に多くみられる傾向があり、40代初めから発病が増加します。女性の場合は、女性ホルモンが動脈硬化に対して予防効果があるため、比較的若い女性の発病は少なく、女性ホルモンが減少する閉経後から多くなります。
虚血性心疾患は、危険因子を取り除くことで、ある程度予防ができるといわれています。喫煙、食生活、ストレスなど動脈硬化につながる生活習慣を見直し、改善することが大切です。
また、虚血性心疾患になってしまった場合も、カテーテルを入れて治療が終わるわけではありません。心臓の血管だけでなく、全身に渡り動脈硬化への二次予防が必要となります。
このホームページの著作権は、医師本人及びオーベン株式会社にあります。当社の承諾なく、
本サービスに掲載されている画像・文章など全コンテンツの使用・転写を禁止いたします。