虚血性心疾患について

臨床医の役目

私を含む、市中病院における臨床医が担う最も大きな役目は目の前の患者さんの病気を治すことですが、同時に後進の育成や世界中の患者さんを治すための研究も行なっていくべきだと思います。臨床を中心に教育・研究のバランス(コミニケーション)をとりながら、新しいことに常に挑戦し続けるために欠かせないものが論文です。

すべては患者さんの利益のために

論文の中ではごまかしがききません。少しでもあやふやな知識の中で書かれた論文に論理の飛躍があればそれだけで論文としての説得力は無くなってしまいます。そうならないためにも論文を書く前にその分野についての知識を整理することが必要とされます。ここで整理された知識は臨床における観察をより緻密なものとし、治療への思考レベルを一段階上のものにしてくれます。臨床医が論文を書くということは研究のためだけでなく、その成果を患者さんに還元することにつながるのです。

また、臨床医として経験した一症例一症例を積み重ねた生のデータから見えてきた臨床現場の問題点を論文を通して世界に発信することができます。これは世界、日本、地域の医療への貢献や後輩たちへの貢献にもなり、一市中病院の医師としての責務だと考えています。