AVMの治療

脳動静脈奇形(AVM)の治療について

 先天性のAVMがみつかった場合、治療はどのように行われるのでしょうか。
大きく分けて下記のような治療方法がありますが、主流となっているのは摘出手術と放射線治療です。

■経過観察 
 治療を行わずに経過した場合の危険性といずれかの治療を行った場合の危険性とを比較した上で、経過観察が望ましい場合があります。病変ごとに破裂する危険性は異なり、また治療を行う場合の危険性も異なります。専門医のもとで的確な評価を受けたうえで治療方針を決める必要があります。

■開頭による摘出手術
 脳動静脈瘤の奇形部分を切除摘出することにより根治します。病変が残存する可能性が最も低い点が長所です。しかし、大きさや位置によっては、手術が難しい場合もあります。その場合は下記のガンマナイフやカテーテルによる塞栓術を併用して治療を行うこともあります。

■放射線治療(ガンマナイフ)
 ガンマナイフと呼ばれる特殊な放射線治療機器を行います。局所的にしっかりと放射線を当てることにより病気の部分を小さくしていき、正常な脳組織へのダメージが最小限で治療できます。開頭による摘出が難しい場合などに適しています。サイズが大きいとAVMが残存する可能性が高くなるので、血管内治療によりサイズを小さくしてからガンマナイフを行うこともあります。放射線治療は数日の入院で行いますが、効果が現れるまでに時間を要し、病変消失までに2〜3年後かかることが一般的です。病変の消失率はAVMのサイズによって異なり、6〜9割の患者さんが治癒しています。 開頭手術より身体への負担は少なく済むことがメリットですが、病変消失まで時間を要することが短所です。また、一部の放射線による合併症は治療後の期間が長くなるほど出現しやすくなるとされており、若年者には不向きな面があります。

■カテーテルによる血管内治療(塞栓術)
 血管の病変部分に、液体から固体へと変化する塞栓材料をつめる(塞栓する)治療です。
 血管内治療単独の治療では病気の根治率が低いため、他の治療方法と組み合わせて用いることが一般的です。大きな脳動静脈奇形に対してカテーテル治療で小さくしてからガンマナイフを行う、開頭手術では対処困難な血管を事前に血管内治療で処理する、などの組み合わせがあり、病変の特徴に合わせて血管内治療を行います。一部の脳動静脈奇形では、カテーテル治療単体での治療が行われます。
 AVMを塞栓する材料としては、Onyx(オニックス)という比較的最近に日本で保険適用となったものがあります。また以前より使用されているNBCAというものは保険適用ではないものですが、この二種類の材料は特徴が異なるので適宜使い分けて使用しています。


治療が必要な場合とは?

 一度脳内で出血を起こしている患者さんは再出血する可能性が高いため、上記のような治療が必要です。ただし、再出血(二度目の出血)の確率は1年間で6%と必ずしも高くはないので、あせらずにしっかりと評価した上で最適な治療計画をたてて行います。
 脳ドックなどで発見された場合には、出血を引き起こす可能性は一度出血を起こしている人よりは低くなります。治療リスクや患者さんの社会的状況などを考慮した上で、治療するかどうかを検討します。


当院の治療について

 脳動静脈奇形では、上記の3つの治療方法を適宜組み合わせて治療することが多く行われています。
 当院は日本の脳血管内治療のパイオニアであり、本疾患に対しても古くから塞栓術の有効活用に取り組んでいます。血管病変の外科手術のエキスパートである医師と綿密な検討を重ねた上で、病変に最適な治療を提供しています。当院では手術室に血管造影装置を兼ね備えた「ハイブリッドOR(手術室)」があります。ハイブリッドORでは、患部摘出した後に取り残しなどないかどうかをその場で判定することが可能であるため、より正確性の高い治療を行っています。最新のテクノロジーを取り入れ、質の高い医療、治療の正確性の向上に努め、患者さんへ安全な医療を提供しています。
 ガンマナイフ治療に関しては、治療実績を多く持つ関連施設と連携し、必要に応じて出血しやすい部分に対する塞栓術やガンマナイフの効果を向上させるための塞栓術を実施しています。