エッセイ シネマシリーズ


◆愛知保険医新聞連載エッセイ「シネマシリーズ」



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ネルソン・マンデラの死を悼む

愛知保険医新聞刊


 人種差別の極限の邦、南阿を改革したマンデラが九十五歳で逝去した。黒人差別を撤廃させたという点で阿弗利加解放の象徴マンデラを主人公にした二つの映画作品がある。


 『マンデラの名もなき看守』(2007年)は、一九六八年から一九九〇年にかけての南阿が舞台。刑務官グレゴリーとマンデラの交流を描いた静かな作品だ。最初、マンデラには死刑が当然と考えていたグレゴリーだが、独房でマンデラと出会い、認識を改め始める。一九七五年、マンデラ夫婦に便宜を図ったことで、職場や白人社会で孤立し退職を願い出たが却下され、引き続き任務を続けた。一九八〇年代、アパルトヘイト体制批判で、孤立を深める南阿当局も、マンデラの処遇を変え始める。そして、世界が注目した一九九〇年二月十一日が到来する。


『インビクタス/負けざる者たち』(2009年)
 二十七年間投獄されていたマンデラは、一九九〇年に釈放され同国初の黒人大統領となった。一九九四年当時、南阿代表のラグビーチームは低迷期にあり、アパルトヘイトの象徴として不人気だった。マンデラはこのチームが南阿の白人と黒人の団結の象徴になると考えた。自国開催の一九九五年ラグビーワールドカップで決勝進出を果たし、全南阿国民が見守る中、オールブラックスとの決勝戦に臨む。モーガン・フリーマンの渋い演技が光る。
 極東の島国にはマンデラのような傑物は登場しないのか。



 

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