心電図は胸部に6か所、手足の首の部分に4箇所電極を付けて測定します。測定時間は約4分くらいで、非常に簡単な検査です。
ところが睡眠の測定は一晩沢山の電極を付けて検査しなくてはいけません。
正常な血圧や血糖値には世界標準がありますが、睡眠には年齢差、性差、季節変動があり、世界標準というものがありません。
5時間睡眠の人や、10時間睡眠の人がいますが、これはあくまで個人差と年齢差と季節変動というものを考える必要があります。
理想的な睡眠は、睡眠中にいびきをかかない、歯ぎしりをしない、寝言を言わない、寝相が良い、
そして朝起きてスッキリしている、日中眠くならない、翌日のパフォーマンスに家庭生活や職業生活に支障がない眠りというのが、最も理想的な眠りです。
睡眠中に呼吸が止まったり、心臓の不整脈が起きたり、睡眠中に足が勝手に動いてしまったり、こういった場合には深い眠りがとれず、朝起きてスッキリしない、疲れがとれない眠りになります。
寝だめには効果はありません。
人間の活動というのは地球の自転の1日24時間というサイクルのなかで完結しています。
人は1週間水だけで過ごすという飢餓の状態に耐えるようにできていますが、1週間あるいは10日も徹夜をすると死んでしまいます。
1日、2日徹夜する体力のある年齢はありますが、基本的には24時間のサイクルのなかで、寝る、起きるという行動は完結させないと、結局ツケが出てきます。平日本来は7時間寝なくてはいけない人が、5時間しか寝ていないで、週末10時間ぐらい寝て寝だめをしたつもりで、バリバリ仕事をやっていてもそれが半年ぐらい続くと、昼間眠くなって仕事のパフォーマンスがどんどん落ちることになります。その結果残業がもっと増えて、家へ帰って寝れない時間がますます増えて、外来に来たときは仕事中に居眠りして困ると訴えて特殊な過眠症ではないかと心配する方がいらっしゃいますが、これは睡眠不足症候群という現代人に最も多い病気です。
仮に週末24時間寝たとしてもその眠りの貯金は翌日で終わり、寝だめは効きません。
寝だめ、食いだめは効かないというのが、この生体リズムの24時間のサイクルからは明らかになっています。現代の学生や働く人たちが平日居眠りを電車のなかでしている、会議中も居眠りをする、これは大体睡眠不足のせいですが、それを週末に補っているのが現代の状況です。
平日の睡眠の借金は週末たくさん眠っても取り返せないというのが、今ヨーロッパでもアメリカでも日本でも睡眠学の側からの常識になっています。