末梢動脈疾患の検査について

 透析患者さん4000人を調べたデータでは、足に傷ができるような重症な人でも、虚血や血流の評価が十分にされているのは10人に1人程しかいないことがわかっています。よって、現場では積極的に虚血の評価をする必要があるといわれています。

検査方法

1. 触診・・・直接、手で触り、足の脈拍と体温を診断します。

2. ABI検査・・・腕と足の血圧を測り、その比を出すことで虚血の度合いを測定します。通常は足のほうが1、2割ほど高くなるのに対し、足の虚血の場合、このABIの数値が徐々に圧が下がります。数値が0.9を下回ると、どこかに大きな狭窄があるか閉塞が起きている可能性があるので、このABI検査が重要になります。

透析の方は、末梢や石灰化の問題があるためにABI検査のみでは分からいな場合があります。より末梢の微小循環を調べるために、SPP検査やTBIと呼ばれるつま先の圧の比を測定が必要になります。


3. SPP・・・skin perusion pressue レーザーで、皮膚の下1mmの毛細血管の中を走る赤血球の量を調べます。


4. 血管エコー・・・足にエコーをかけ、血流が途絶えている箇所がないかを確認します。

最終的にはMDCTと呼ばれる3次元のCTをとったり、血管造影をして、虚血の評価をいくつかの方法で積極的に行う必要があります。


検査の頻度

 まずは症状が無くても1年に1回の検査が必要ですが、それでも不十分な場合があります。
一度、足に狭窄や閉塞などの末梢動脈疾患が現れると、病変の進行が極めて早くなります。このような患者さんの場合には半年に1回、状況に応じて3ヶ月に1回など、まめに末梢の循環を調べるということが大事になります。


早期発見

 患者自身で自分の足を診る、触るという習慣をつけることが大切です。普段、あまり自分の足を診る習慣がない場合や、高齢のため目が不自由で、見にくい、触りにくい、という状況が多くあります。この様な場合は鏡などを使って自分の足底を映し出し確認することが必要になります。もしタコ、ウオノメ、爪変形、角質の肥厚などがあったら糖尿病や慢性の腎臓病がある人は自分で処置せず早めに皮膚科や形成外科あるいはフットケア外来に行って見てもらいましょう。


診断に関するアルゴリズム

 診断は、糖尿病や透析といったハイリスク群の患者さんであるか否かによって変わります。
 高齢ではない女性の場合には、自分の足に対して診る、触るというような意識だけで問題はありません。反対にリスクのある方々、透析の方の場合には診る、触るという足のチェックが毎回の透析ごとに必要になります。また、全く無症状の状態であっても6ヶ月に1回の診断が必要です。

 無症状ではあるが足病変と言って、ベンチ、白癬、つめ変形、また角質の肥厚といわれるようなウオノメ、タコが発症している方々は無い方に比べて虚血の病変が多いという事もわかってきいています。 仮に、末梢動脈疾患がなくても足病変があれば、1ヶ月に1回、3ヶ月に1回は少なくとも足の専門のフットケア指導士が診ることが必要になります。 さらに末梢動脈疾患が軽度でもある場合には、末梢循環の生理検査が必要です。