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脳動脈瘤の検査

動脈瘤の検査で一番始めに行われる検査は一般的にはMRI検査です。MRIはただ寝ているだけで簡単に撮影でき、5mm程の大きな動脈瘤であればすぐに発見できるため患者さんにとって負担が少ない検査であるためです。 動脈瘤が発見されるとその大きさや場所によっては治療に進むことになります。日本では5mm、欧米では7mmよりも大きな動脈瘤は破れる可能性が高くなると言われています。場所としては頚の左右に一本ずつある内頚動脈と呼ばれる動脈が脳に入った直後のところにある動脈瘤、眉間の奥にある前交通動脈という箇所に出来た動脈瘤は他の場所よりもやや破裂する危険が高いと言われており治療が必要となってきます。


クリッピング治療とコイル治療

コイル治療写真

脳動脈瘤に治療にはクリッピング治療とコイル治療の2つの治療法があります。患者さんの状態によってどちらの治療法を選択するかを考えていかなければなりません。一般的には脳の奥深くのところを治療する場合はコイル治療が向いていると言われています。大きさで言うとコイル治療は大きすぎる、あるいは小さすぎる動脈瘤の治療には向いていません。また動脈瘤の入り口のことをネックと言いますが、以前はネックが広いと入れたコイルがはみ出してきてしまうため、広いネックの動脈瘤はコイル治療には適さないと言われていました。しかし現在は風船がついたカテーテルやステントといった網状の人工血管をそこのネックにかぶせることで、コイルがはみ出すことを防ぐことができるようになっています。そのため昔と比べると現在ではネックの広い動脈瘤でもコイルで治療することができるようになりました。

この2つの治療法を比べると、日本にコイル治療を行う血管内治療の専門家がまだ少ないということもありますが現在の日本では約7:3の比率でクリッピング治療が行われることが多くなっています。



コイル治療の特徴

コイル治療の最大のメリットは頭を切らずに治療をできるということです。全身麻酔はかけますが頭を切らずに済むため患者さんの身体への負担は非常に軽く済みます。一方で1m50cm先にあるカテーテルを医師が自身の手で操作するため、もしカテーテルの先端で動脈瘤が破れたりあるいはそこに血栓ができるといった非常事態が起きると遠隔治療でそれを治めなければならないというデメリットもあります。順調にいけば身体への負担が非常に軽い治療ですが、万が一出血や血栓症が起こった場合は対処が少し困難になるということではデメリットであると言えます。

また、クリップ治療と比較するとコイル治療は再発する可能性が高いという性質があります。コイルには隙間があるため血圧に負けて動脈瘤が出てきてしまったり、動脈瘤そのものが大きくなってしまう可能性があります。このような形で動脈瘤が再発することがあるということはクリップ治療に対するコイル治療のデメリットであると言われています。