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頚動脈狭窄症とは

脳に向かう血管のうち、最も太い血管は頚動脈です。この頚動脈にプラークが溜まるなどして血液が通ることのできるスペースが細くなってしまった状態を頚動脈狭窄症といいます。症状としては言語障害、半身麻痺、顔面の麻痺などが起こり、最近増加している脳梗塞の原因の1つにもなっています。

頚動脈狭窄症の検査

一番基本的な検査は頚動脈エコー検査です。この検査でほとんどの場合は診断がつきます。エコー検査で頚動脈が狭窄していると判断されると、次は造影剤を使用してCTを撮ることで頚動脈の立体的な写真を撮ります。そうすることにより鮮明に頚動脈が細くなっているのがわかります。それ以外にもMRI検査、あるいは脳の血液循環の検査をすることがあります。

これらの検査でどの程度の結果が出ると治療に入ることになるのかということに関してはしっかりとした治療ガイドラインがあります。頚動脈の中に溜まるカスをプラークと呼びますが、この頚動脈プラークが血液の通り道を50%程度まで細くしてプラークが破れてしまった場合、脳梗塞を起こす可能性があります。脳梗塞を起こしたことがある場合は症候性の頚動脈狭窄症と呼ばれ、50%以上の狭窄であれば治療の適用になります。また、頚動脈が細くなっていても今のところ脳梗塞は起きていないという場合は無症候性の頚動脈狭窄症と呼ばれ、80%程細くなった状況で治療にはいります。

頚動脈狭窄症の薬物治療

症候性の頚動脈狭窄症は抗血小板剤の服用が一番基本的な治療となります。無症候性の場合は抗血小板剤の服用で効果があるという証拠がありますが、担当医の判断で抗血小板剤を飲んでいただいたり、お薬は出さずに様子を見るということもあります。最近は抗血小板剤の他にも例えばコレステロールを下げるお薬がプラークをより安定化するのに働いてくるということ、血圧を下げる薬の一種が血管の状況を非常に安定化させる作用があるということなど、他の薬剤による本疾患への効果が明らかになってきています。抗血小板剤に加えて他の薬を服用することで頚動脈が細くなっていても脳梗塞は防ごうとする治療も行われています。 無症候性頚動脈狭窄症の場合も抗血小板剤や、コレステロールを下げる薬などの薬剤を駆使して脳梗塞を防ごうというのが一般的な治療になっています。

血管内治療について

頚動脈の血管内治療はステントをいれて狭窄した頚動脈を拡張する治療が一般的です。この治療は血管の中からステントをいれますが血管の中にはプラークが溜まっています。このプラークは血管の中でいじるとばらばらにはがれて脳の血管を詰めてしまう可能性もあるため、頚動脈の血管内治療というのは身体の中で一番遅れていました。しかし頚動脈の深いところでフィルターを開けておくことで途中で出た破片をフィルターで回収するという治療が一般的にできるようになり、最近では頚動脈ステント治療は一般的な治療になっています。

外科的治療について

外科的治療は頚を切り、血管を一時的に止めている間に中のプラークをかき出してきれいにするという治療です。この治療法が一番信頼性の高い治療法となりますが全身麻酔をかけて頚を切るといった負担が患者さんにかかります。心臓が悪いなど、患者さんの病状によって全身麻酔をかけて切る治療は非常に大きな負担になってしまうと判断された場合はステント治療を優先して行うことが一般的です。

治療法の選択について

上記のように外科で頚動脈を治す治療と血管内治療で中から拡げてステントを入れる治療との2つの治療方法があります。両者のメリットとデメリットと患者さんの状況とを照らしあわせた上で治療法を考えていかなければなりません。例えば血管内に溜まっているプラークが柔らかいものの場合には破片がたくさん出て治療によって脳梗塞を起こす可能性が高くなるため血管内治療はそれほど適さない一方で、安定した固めのプラークの治療には適しているという特徴があります。

また外科治療もステント治療も再狭窄が起こる可能性は数パーセント以内です。冠動脈や心臓の冠動脈と異なり、頚動脈の場合は外科、ステントどちらで治療しても再狭窄はあまり大きな問題にはなりません。仮に外科治療後に再狭窄が起きた場合はもう一回手術するのは非常に難しいのでその場合はステント優先で治療します。ステント治療の後に再狭窄が起きた場合にも再度ステントで拡げます。