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投与量を減量した低用量化学療法による外来化学療法

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投与量を減量した低用量化学療法による外来化学療法

これまでは、再発したがんや切除できないがんに対する化学療法は、“しこりを小さくすること“を目標として行われてきました。これは、決して間違ったことではないのですが、がんが消えることはまれです。もし、がんが消えないで残ると、たとえ一時期しこりが小さくなっても、抗がん剤に耐性を持つ細胞がふたたび急速な再増殖をしたり、さらに患者さんの免疫能の低下を来したりすることも経験されます。したがって、腫瘍の縮小は、必ずしも長期の生存に結びつくものではないと考えられています。

近年、腫瘍の縮小より増殖の抑制、“がんが大きくならない”ことを目指す、がん休眠療法が提唱されるようになりました。がんとの共存をめざすともいえるこの療法により、副作用が軽減され、長期にわたる薬剤投与が可能となり、長期の生存期間が得られたとの報告もあります。がん休眠療法を誘導する治療法のひとつとして、抗がん剤投与量を抑えた低用量化学療法があります。

以上を踏まえ、がん休眠療法を目指した低用量シスプラチン+カンプト療法を、転移・再発胃がんの患者さんに対して行ってきました。まだ症例数は7例と多くないものの、全例で外来治療が可能となり、4例で1年以上の外来通院が可能となりました。さらに、1例の完全消失を含む3例の患者さんで腫瘍の縮小もみられ、本来の目的である“がんとの共存”以上の効果も得られました。その結果は、医学雑誌、“癌と化学療法”に掲載されました(2008年9月号 第35巻 9号 P1555−1559)。

低用量化学療法でも、がんの縮小が得られ、しかも副作用も少なく外来での治療を進めることができうる可能性が示されたことは大きいと考えられます。今後とも、患者さんの苦痛を少しでも軽減しつつ、抗がん剤治療を進めることを目指したいと思います。


対象となる患者さん

進行・再発胃がん


治療の様子、実績

【方法】まず、CPT-11 65mg/m2 を1時間で点滴静注したのち、CDDP 20mg/bodyを30分で点滴静注し、2週後に繰り返します。

【結果】完全にがんが消失した症例1例、縮小し2年以上の長期生存を得た症例2例で、奏効率は7例中3例、43%でした。

【有効症例】

1.完全消失例
  腫大したリンパ節(図2)が、3回投与後の2ヵ月後には消失しています(図3)。腫瘍マーカーCA19-9も517から正常値に復しました。

図2 図3
<図2> 化学療法前
<図3> 化学療法後 3回投与後
完全消失症例  赤矢印で示された腫瘍が治療後に消えています。

2.多発性肝転移のため、非切除症例

図4 図5
<図4> 治療前
<図5> 治療後 10回投与後
胃癌原発巣(緑色矢印)、肝転移巣(赤矢印) ともに縮小しています。