中村正人先生のウェブサイト

心臓の病気

閉塞性動脈硬化症

JET

 

狭心症




  心臓の組織に酸素と栄養を供給する冠動脈の内腔が狭くなり、血流が悪くなって心臓の組織が酸素不足に陥る状態が狭心症です。

 



狭心症は主に2つのタイプに分かれます。
(1)労作性狭心症
  早歩き、階段や坂を登る、重い荷物を持つなど運動をした時に起こる狭心症です。
  血管が狭搾して、運動したり興奮したりすると心臓に必要な血液を供給できなくなり
  起こります。
(2)冠攣縮性狭心症(安静狭心症)
  冠動脈が痙攣を起こし、一時的に極端に狭くなるために起こる狭心症です。
  安静にしている時、特に夜中から明け方にかけて多く起こります。

  特に、運動時、安静時に限らず冠動脈のプラークが破裂して発作を起こし、心筋梗塞に進んでしまう危険な状態を 「不安定狭心症」といい、冠動脈があまり狭くなっていない状態から一気に命にかかわるところまで症状が進みますので注意が必要です。

 


  胸が締めつけられるような痛みを感じるのが大きな症状です。
痛みは胸の中央からのどにかけてと、背中、左肩、左腕にかけて広がります。
痛みは2〜3分、長くても10分程度でおさまります。




■薬物療法

  狭心症の大半は動脈硬化が原因ですから治療の主眼は動脈硬化が進まないようにする事にあります。

・発作時
  発作が起こったらまず椅子にゆったり座り、ニトログリセリン(硝酸薬)を舌の下に置き、 舌の血管から直接浸透させて、冠動脈の血管を拡げ、血流量を増加させて心筋の代謝を改善します。
・発作がない時
(1)カルシウム拮抗薬:血流を改善し発作を防ぐ。
(2)硝酸薬:冠動脈を拡げ主に静脈系を拡張し、心臓への負担を減らすことで虚血状態の改善を図る。
(3)αβ遮断薬:心臓への負担を減らす。
(4)β遮断薬:心臓の拍動を穏やかにする働きがあるため心筋の酸素消費量が減り、狭心症の発作を防ぐ。

※高血圧や脂質異常症、糖尿病を合併している場合にはそれぞれの治療も行います。


■冠血再建術

狭くなって血流が滞った血管をカテーテルや手術で血流を元に戻す治療です。

(1)冠動脈形成術
  狭窄した血管にバルーンつきのカテーテルを
  差し込み、バルーンを膨らませて血管を押し拡げ、
  血流を回復させる治療法です。
  血管を拡げた後にステントと呼ばれる金属の網で
  できた筒を留置する方法が主流になっています。



ステント

(2)冠動脈バイパス手術
  狭窄した冠動脈の先に血液を流すために迂回させるように血管をつなぐ手術です。
  カテーテル治療がむずかしい状態の狭窄病変や、狭窄している血管が3本以上ある
  場合に行います。