中村正人先生のウェブサイト

心臓の病気

閉塞性動脈硬化症

JET

 


  閉塞性動脈硬化症は全身性の動脈硬化症が足に現れたものです。
日本でも高齢化社会を迎え、患者数は増加の一途をたどっています。
  閉塞性動脈硬化症は虚血性心疾患と異なり直接生命に関わる事態に直結するわけではありませんが、足の切断に至るなど重篤な状態になることも少なくない疾患です。

  閉塞性動脈硬化症の危険因子は糖尿病、脂質異常症、高血圧症、喫煙、高齢などで、これらの因子を複数抱えている方はより閉塞性動脈硬化症になりやすいといえます。
閉塞性動脈硬化症は狭心症・心筋梗塞などの虚血性心疾患、脳梗塞などの脳血管障害を発症した数年後に発症する事が多くなります。

  閉塞性動脈硬化症は症状の段階によって4段階にわけられます(表1)。
第I度は無症状の事が多く、場合によってはしびれや足先が冷たく感じるなどの症状があります。
第II度になると歩くと足が痛くなり、しばらく休むとまた歩けるようになると言った症状で、これを間欠性跛行といいます。
第III度からは重症虚血肢となり、安静にしていても足が痛む第III度、傷が治らなくなり潰瘍や壊死がおこる第IV度と進行します。

▼表1:フォンテーンの分類

ABI(ankie branchial index) 検査

  左右の上腕動脈と足関節の動脈の収縮期血圧をドプラ血統計で測定し足関節の動脈の血圧を上腕動脈の血圧で割った値を測る検査です。
正常値は0.9〜1.4で、0.9未満の場合下肢の動脈に50%以上の割合で狭窄がみられます。 最近では血圧脈波装置ABI-formなどの普及によりABIを簡便に測定できるようになりました。