良性脳腫瘍

良性脳腫瘍とは

脳(大脳、小脳、脳幹など)や脳の周囲に発生する腫瘍を総称して原発性脳腫瘍といいます。

原発性脳腫瘍のうち、とくに脳の周囲の膜や骨などの周辺から発生する腫瘍は、通常は腫瘍の発育速度が遅く、転移などもおこさないことがほとんどで、良性の脳腫瘍(良性脳腫瘍)と分類されます。

発育が遅い分、通常は中年期以降に診断されることが多いです。

これに対して脳(大脳や小脳など)の中から発生する腫瘍は、発育速度が比較的早く、周囲に浸潤しながら拡がっていく性質を持つことが多く、悪性脳腫瘍に分類されます。

 

良性脳腫瘍の種類

頻度として一番多いのが髄膜腫と呼ばれる腫瘍です。

この腫瘍は脳の外側を覆っている膜から発生する腫瘍で、良性、悪性を含めた全ての脳腫瘍の中で最も発生頻度が高い腫瘍です。

正常な脳を少しずつ内側へ押しのけながら発育していきます。

このため腫瘍が小さい間は症状を出しにくいのですが、ある程度の大きさになってくると、腫瘍の圧迫により脳の機能が障害され、手足の麻痺などの症状が出現します。

小型の髄膜腫でも、視神経などの脳神経の近くに発生した場合には、早い段階から症状(視機能障害、感覚異常など)が出現してくる場合もあります。

 

次に多いのが下垂体腺腫と呼ばれる腫瘍です。

下垂体とは頭の真ん中に“さくらんぼ”のようにぶら下がっている(下垂している)小さい臓器ですが、この下垂体は小さいながらも人間が生きていく上で非常に大事な役割を果たしています。

小さな下垂体からいろいろなホルモン(生理活性物質)が分泌されて、知らないうちに体の状態を整えてくれています。

この下垂体から発生してくるのが下垂体腺腫で、ホルモンを過剰に分泌する腫瘍による症状(先端巨大症、クッシング病、プロラクチン産生腫瘍など)を呈する場合があります。

大型の腫瘍の場合には、下垂体のすぐ上方にある視神経を圧迫するようになり、視野欠損や視力低下などの視機能障害が出現します。

 

聴神経腫瘍は神経の周りを取り囲んでいる“さや(鞘)”から発生する腫瘍です。

通常聴力低下やふらつきなどの症状で発症します。

中年期以降の発症が多く、少し女性での頻度が高い腫瘍です。

 

頭蓋咽頭腫は子供にも多い腫瘍で、発生の段階で下垂体の上方に咽頭の粘膜が残存し、そこから発生します。

腫瘍による圧迫が原因となり下垂体機能が障害されることにより生じるホルモン分泌低下症状(低身長、二次性徴の欠落など)や、視神経圧迫に伴う視機能障害などを伴います。