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虚血性心疾患

下肢の動脈疾患

虚血性心疾患とは


虚血性心疾患というのは、心臓を栄養する血管が詰まってしまう、あるいは狭窄してしまうという病気です。心臓は冠動脈という血管で栄養を受けています。
この動脈が狭窄あるいは閉塞してしまうことを虚血性心疾患といいます。
外来で患者さんにお話する時には、よく脳梗塞に例えています。脳梗塞というと頭の血管が詰まった病気だとか、細くなったというのは連想しやすいと思いますが、それの心臓版と考えていただいてよいと思います。
血管が詰まることは心臓にも起こります。血管が詰まることによってその先の心臓の機能が低下し、ポンプとしての力が落ちてしまいます。症状としては胸痛や、胸部圧迫感などが出てきます。


閉塞と狭窄の違い

閉塞は、完全に詰まった状態をいいます。
狭窄は、完全には詰まっていない、細くなっている状態をいいます。
完全に詰まっているということは、血管が詰まった先には全く血液が流れない、栄養が流れないということになります。狭窄は、十分ではない、不足はしていても少しは血液が流れています。
この差は、心臓の細胞が生きているか死んでいるかという差になります。完全に詰まってしまうと酸素・栄養が心臓に行かなくなり、心臓の細胞は時間を追ってどんどん壊死していきます。
それが急性に起こると分単位で心臓の細胞が死んでいきます。6時間以上詰まったまま放置しておくと、ほとんど心臓の細胞は壊死してしまうと言われていますので、その後に治療をしてもあまり効果がなくなってしまいます。
狭窄の場合は心臓が苦しい状態です。首を絞められて酸欠みたいな状態になっていますが生きていますので、症状としては胸が痛いとか圧迫感、人によっては喉が痛いとか、肩が痛いなどがあります。心臓が苦しい状態ではありますが、心臓の細胞が生きている状態が狭窄です。
閉塞と狭窄について実際心臓に起こっていることを比較すると、心臓が生きているか死んでいるかということになりますから、これは大きな違いになります。

症状について

閉塞している場合は走ろうがじっとしていようが、いわゆる労作であろうが安静であろうが、心臓には酸素や栄養が行っていませんので、心臓が悲鳴を上げます。
胸痛がひどいときには血圧低下とか、ショック状態になります。
狭窄の場合は少し血液が流れていますので、安静にしていると意外と症状が出ないようなことがあります。
ただ、自転車で10分こいでから歩いたら少し圧迫感が出た、階段で3階まであがったら苦しくなったなど、心臓の鼓動が早くなって運動量が多くなった時に、それに見合う血液供給が送られていないことがあります。

報告にもよりますが、虚血性心疾患の発作の2〜4割は無症状と言われています。
狭窄があっても閉塞があっても、症状が訴えられないという方が結構いらっしゃいます。 特に糖尿病の方に多くみられます。従って、かなり重篤に進行しないと病院に来ない、分からないということがあります。
だからこそ、症状では語ることができず、積極的に病院で検査をしないといけない病気です。

虚血性心疾患になりやすいタイプ

医学的な話をする前に、一般的になりやすいタイプはA型気質(完璧主義)の人がなりやすいと言われています。これは文献や報告もされています。
医学的には、危険因子を持っている方が虚血性心疾患になりやすいといえます。1つよりも2つ、2つよりも3つ、重なれば重なるほど多いと考えてよいと思います。
危険因子のまず1つが年齢です。高齢の方がなりやすい病気です。次が男性です。虚血性心疾患の大体7〜8割くらいは男性で、女性は少ない病気です。この年齢と男性であることは、危険因子ですが変えられるものではありません。
それ以外に、4大因子と呼ばれているのが、糖尿病、高血圧、高コレステロール血症、そして喫煙です。1つよりも複数持っている方が高く、特に糖尿病、高コレステロール血症、の方は、ひどい虚血性心疾患になることがありますので注意が必要です。