清水 渉
WATARU SHIMIZU
Dr. Wataru Shimizu’s Web Site 循環器内科 大学院教授 日本医科大学附属病院

不整脈の治療とは

不整脈の治療を頻脈性不整脈と徐脈性不整脈にわけてご説明します。

徐脈性不整脈では、脈が少ないことによって、眼前暗黒感、失神、労作時の息切れ、場合によっては心不全症状が出ることがあります。徐脈の原因となる薬物や電解質異常のような誘因がなく、徐脈に一致してこのような症状がつかまえられた場合には、基本的にはペースメーカを埋め込む治療を行います。
一方、心房細動などの頻脈性不整脈の治療は、以前は、抗不整脈薬というお薬で発作を起こりにくく(予防)したり発作をとめやすくしたりしていました。
ところが1990年代からカテーテルアブレーションという高周波を使った治療法が登場し、現在では心房細動も含めた多くの不整脈が根治できるようになりました。
もう一つ、同じく1990年代になって登場した新しい治療法が植込み型除細動器(ICD)です。これは持続性心室頻拍や心室細動などの致死性心室性不整脈に対して電気ショックがかけられる機械で、ペースメーカのように体内に埋め込みます。


カテーテルアブレーションとは

カテーテルは電極カテーテル、アブレーションは焼灼術を意味し、血管(足の付け根や首の動脈や静脈)を介して電極カテーテルを心臓の中に入れて高周波の電気を流し、不整脈の発生に関係する心筋組織(局所的に大体5㎜位の範囲)を焼灼する(火傷させる)治療法です。

カテーテル

通常のカテーテルアブレーションは局所麻酔で行い、治療の時間は3~4時間くらいまでで、治療終了後数時間後には歩くこともできます。入院期間も3泊4日位で治療が可能です。退院後の社会復帰も早く、比較的すぐに仕事に復帰される患者さんもいらっしゃいます。

心臓の中に電極を入れて心筋を焼灼する治療ですので、治療中や治療後に一過性に血栓という血の塊が出来る可能性があり、それが血流にのって脳へ流れていくと脳梗塞を起こす危険性があります。このため、カテーテルアブレーションを受ける患者さんには、必ず少なくとも3週間以上前から血をサラサラにする抗凝固薬を飲んで頂きます。 最近では、導入しやすいDOAC(direct oral anticoagulant)という新しい抗凝固薬を飲んで頂くことが多いです。

カテーテル治療の最大のメリットは開胸せずに済むことです。また基本的に局所麻酔での治療ですので、全身麻酔のリスクを抱えて手術不可能という方や高齢の方でも治療が可能になる場合もあります。手術に比べれば低侵襲という事により、治療の幅が広がる事も大きなメリットです。 しかし、硬い電極カテーテルを心臓の中に入れるので、合併症として電極カテーテル操作中に心臓の壁に穴があき、心タンポナーデ(心臓の周りの心膜との間に血液が溜まって、心臓が圧迫されて拡張できない状態)をおこし、血圧が下がったり、ひどい場合には一時的にショック状態になったりすることがあります。また、血管の穿刺部位に血腫を作ったり、異物を体に入れますから感染を起こしたりすることもあります。


植込み型除細動器ICDとは

心室頻拍や心室細動などの致死性不整脈による突然死を防ぐために用いられるのがICD(植込み型除細動器)です。
ICDは例えば心室細動が起きた時にそれを検知し、電気ショックを与えることによって心室細動を停止させ(除細動し)、心臓の動きを正常に戻します。

ICDを体内に植込む場合は、全身麻酔または局所麻酔の下で鎖骨下の前胸部皮下にポケットを作り本体をそこへ植込みます。
リードは血管を通して心臓の中に挿入し留置します。手術にかかる時間は長くても3〜4時間です。
ICDは患者さんの症状にあわせて担当医師によりプログラムされていますので、 退院後も担当医師の指示に従って定期検診を受けることが大切です。