遺伝子を調べることで、実際に生物学的製剤を投与する前に、その患者さんに効果があるのかどうか、副作用が出やすいかどうかが分かるようにならないかと考えて、わたしの施設を含めて6施設で研究を行いました。
今回は、患者さんの血液からDNAを抽出し、遺伝子の多型を調べるという方法を取りました。遺伝子の多型は、これまでにも薬の効果の個人差の原因となっていると多く報告されています。また、一生変化しないものですから、良いマーカーとなると思われます。
生物学的製剤(レミケード、エンブレル)の効果が得られた方と、得られなかった方、副作用が問題となった方と、ならなかった方を比較検討し、正確度84.9〜94.7%の高い結果を得ることができました。
生物学的製剤は画期的な効果を生むことが多いですが、効果が得られない患者さんも20〜30%いらっしゃると言われています。また、効果が得られても、副作用が問題となって治療の継続が難しい方もいらっしゃいます。有効性や副作用の可能性が予め分かるようになれば、効果が得られない薬を漫然と続けたり、副作用に困る可能性が少なくなりますから、よりテーラーメイドで快適な治療が行えるようになるでしょう。