最初の治療で完全に消えたようにみえても、わずかに残っていたがん細胞が増殖して症状が出たり、検査などで発見されるようになった状態を再発といいます。食道がんの再発のほとんどはリンパ節と肺、肝臓などの臓器や、骨への転移です。首のつけ根のリンパ節に再発すると首がはれてきたり声がかすれたりします。胸や腹部の奥のリンパ節に再発すると背中や腰に重苦しい痛みを感じます。肺や肝臓への転移は大きくなるまではっきりした症状は出ません。しかし、体重が減る、食欲が落ちる、疲れやすくなるといった症状が出ることがあります。肺の転移が大きくなると胸の壁を押して咳が出たり胸の痛みを感じたりします。肝臓の転移が大きくなると腹部がはって重苦しく感じます。骨への転移は痛みを感じます。もともとのがんが大きかった場合には、がんがあった場所に再発することがあります。気管や気管支に再発すると、咳が出たり血もまじった痰が出たりします。
再発の場合には、再発した部位、症状、初回治療法およびその反応などを考慮して治療法を選択します。手術をすることはほとんどありません。胸の奥や腹部の奥のリンパ節への再発には放射線治療か化学療法(抗がん剤治療)を行います。肺や肝臓、骨への転移は抗がん剤治療を行います。その他、モルヒネなどの痛み止めを用いる症状緩和のための治療が選択されます。どのような治療をしても、再発したがんが治る可能性は非常に少ないと考えねばなりません。再発した場合には、およそ半年ぐらいの余命と考えられます。放射線治療や化学療法で1年以上生きられることもありますが、がんの進行が早ければ3ヶ月以内のこともあります。