胃がんとは?

 胃がんの病状や手術についてご理解いただくため、1) 胃の機能と構造、2) 胃がんの進展、3)進行程度(病期)からご説明します。


1)胃の機能と構造

 胃の主な役割は食物を一時的にたくわえ、少量ずつ十二指腸に送ることです。この際、胃液は強い酸により消化を助け、また殺菌作用を有します。栄養の消化吸収は主に十二指腸以下の小腸の役割で、胃は造血に関係する鉄やビタミン B12の吸収を補助します。


2) 胃がんの発生と進行

 胃がんは胃粘膜から発生し、10数年かけて診断可能な大きさ(5mm以上)になるといわれています。粘膜下層までのがんを早期がん、胃の筋肉層より深く進展(浸潤)したものを進行がんと呼び、またがんが非連続性に他部位に進展することを転移といいますが、粘膜下層にがんが達すると血管やリンパ管を介し、転移が始まります。

 初期にはリンパ節転移から、進展するにつれ腹膜転移や血行性の転移がおきます。リンパ節転移は第1群(近傍)から第2群(膵臓周囲)までは切除して完全な治癒を見込める効果が高いと考えられます。

 腹膜転移は胃壁の外側(漿膜)つまり腹腔に露出したがんがこぼれ落ちてでき、膀胱や腸などの臓器に付着し、腹水や腸を狭くする原因となります。また、腹膜転移は再発の最も大きな原因です。

 胃がんが進行すると、局所では、胃の内腔が狭くなり食物の通過が妨げられ腹満感や悪心、嘔吐などの狭窄症状が出現します。また、がんから出血すると、便が黒くなったり貧血の症状(立ちくらみやショック)がでることがあります。


3) 進行程度(進行度 IA期−IV期)

 がんの深さ、リンパ節転移、他の臓器の転移により進行度が決定されます。手術所見でもある程度の判断はできますが、最終的には原発巣と周囲のリンパ節を顕微鏡でくわしく調べて後日最終的に決定されます。この進行度が治る確率とその後の経過観察や補助療法の目安になります。


胃がん進行度分類(胃癌取り扱い規約)