白血病の検査と治療

白血病の検査と診断

 白血病は骨髄の病気ですから、骨髄(骨の中)を診てみないとわかりません。検査では骨盤の骨に検査の針を入れて、骨液を注射器で取り出して骨液の中を解析します。このように直接骨髄の細胞を調べる方法が一番よく行われる検査です。
 白血球の骨髄が正常に働かなくなると起こってくる状態としては白血球の働きが悪くなったり、白血球の数が少なくなってきます。そうなると感染を起こして高熱が出たり肺炎などを発症したりしやすくなりますのでそのような患者さんや 貧血症状が強い方、出血をしていて血小板が少ない状態の患者さんなどの、検査をすると白血病が発見される、といったようにそれぞれの血球成分の機能の低下、正常の血球成分の機能の低下の症状によって診断をしていくということになります。


白血病の治療について

 白血病の治療法には大きく分けると3つの方法があります。まず化学療法、いわゆる抗がん剤による治療です。それから放射線の治療。これは例えば中枢神経、すなわち頭や脊髄、リンパ節などに放射線を照射します。
あとは造血幹細胞移植、これは骨髄移植です。本人もしくは他人の造血細胞を持ってきて、化学療法や放射線療法で大量の放射線をかけて、治療した後にとっておいた正常の造血細胞を入れる治療です。このように大きく分けて、化学療法、放射線療法そして骨髄移植、この3つの方法があります。

 10年くらい前までは白血病は治療が非常に難しい病気でした。しかし遺伝子異常の研究が進み、原因となる物質が特定された病気に関しては、その物質が作られないようにする分子標的治療が開発されました。
例えば慢性の骨髄性白血病はある特定の遺伝子の異常によって起こることがわかり、その特定な遺伝子が作り出すタンパクの活性を抑える薬剤が開発され、10年ほど前に実際に臨床に使われるようになって、慢性の骨髄背白血病の死亡率が激減しました。
以前は慢性の骨髄性白血病は、5年で約10%、10年経でほぼ0%の生存率だったものが、現在では10年経っても90%ぐらいの患者さんが普通に生活をしています。慢性の白血病は文字通り慢性の病気になってきています。
現在急性の白血病に対しても同じようなアプローチ、原因となる遺伝子に対する薬剤を一つ一つ試している状況です。

治療中の入院生活について

 患者さんはまず白血球が少なくなった場合感染を起こしやすくなるので、空気中に浮遊している細菌などを吸わないために無菌室に入ります。無菌室での治療が終わり、白血病の細胞もしくはリンパ腫の細胞が少なくなって正常の造血細胞が戻ってきた状態(寛解状態)になると普通の部屋に移り、治療を進めていくことになります。こういった治療を何回か繰り返して行いますが、治療を進めながらも再び白血球が少ない状態になった場合は空気が綺麗な状態で治療をするために再度無菌室に移ることになる場合もあります。こういった治療を繰り返し治療を行っていきます。


抗がん剤の副作用について

 抗がん剤治療によって起こる副作用として髪の毛が抜ける、嘔吐するなどがあげられます。髪の毛は使用する薬によって異なり全部が全部抜けるということはありませんが、白血病の方は殆どの方が全て抜けます。
嘔吐の副作用対策に対しては、薬剤が非常に進歩し以前と比較するとだいぶ症状を緩和できるようになっています。