関節リウマチとは

関節リウマチとは

 リウマチは関節、骨、筋肉などの運動器に痛みや炎症を起こす病気の総称ですが、一般的にリウマチというと「関節リウマチ」を想像されることが多いようです。この関節リウマチは免疫異常によって起こる疾患である膠原病(こうげんびょう)の一種であり、膠原病の中でも最も患者さんの数が多い病気です。


 炎症反応は正常であれば体を守るための免疫システムとして機能しますが、炎症反応に異常が起きることで関節を攻撃してしまうのが関節リウマチです。発症初期は主に手や足の関節から始まり、次第に全身の関節に炎症を起こすようになります。充分な治療が行われずに悪化させてしまうと関節が侵されるだけではなく全身に障害が出てくることもあります。


 関節リウマチが発症する要因として遺伝的な要素はありますが、関節リウマチは遺伝病ではありません。例えば一卵性双生児は遺伝子情報が全く同じであるため関節リウマチが遺伝病であるならば一方が発症するともう一方も発症する率は100%近くになるはずですが、実際の率は30%程度となっています。ただしこの発症率は双子ではない兄弟の場合と比べると高くなっているので遺伝的要素がありながらも環境的要素もあるようです。
現在、関節リウマチで悩む患者さんは日本国内に70万人〜100万人ほどいます。30歳代〜50歳代で発症する方が多く、特に40歳代で発症する方が最も多いことがわかっています。また、男女比は約4:1の割合で女性患者さんが多いことも関節リウマチの特徴です。


手だけではなく全身の関節が侵されます

 関節リウマチの症状として
○関節の腫れと痛み
○手指関節の違和感、進展屈曲障害
○両手の朝のこわばり

○関節の変形
○足関節の疼痛腫脹(ずきずきと痛んだり晴れ上がる)
○全身の倦怠感
といったものがあげられます。関節リウマチ患者さんの初診時の受診理由としてこれらの症状を訴えられる方もいらっしゃいます。

関節の腫れと痛み

 炎症反応の異常によって関節が攻撃されると関節に痛みが生じます。痛みのタイプとしては「安静にしていても痛む」、「押すと痛む」、「動かすと痛む」などがあり、腫れる、赤くなる、熱を持つという症状が現れることもあります。


朝のこわばり

 朝目が覚めて布団から出ようとする場合など、長時間同じ姿勢をとり続けていると動き始める際に手足がこわばって動きにくくなることがあります。この症状は動くことで次第に治まりますが、関節リウマチの症状が進んでしまうと一日中動きにくさを感じることもあります。


関節の変形

 関節リウマチにより関節炎がしばらく続くと軟骨や骨が破壊されて変形してしまいます。特に上肢の関節では手指の関節に変形が起きやすく、親指を除いた4本の指が小指側に曲がってしまう尺側偏位(しゃくそんへんい)など、その病態にはいくつかの種類があります。


関節以外の症状

 関節リウマチは膠原病の一種であるため、関節だけではなく内蔵に障害を起こすこともあります。その症状は全身の倦怠感、息切れ、めまい、空咳などさまざまです。


<関節以外で起こる症状>

・発熱
・体重減少
・貧血
・むくみ
・皮下結節(リウマチ結節)
・腱鞘炎
・紫斑
・筋痛、筋力低下
・間質性肺炎
・胸膜炎
・心膜炎
・多発単神経炎
・血管炎
・強膜炎
・皮膚の潰瘍、梗塞  四肢先端の壊死や壊疽