関節リウマチ患者さんの治療を行なう上でまず目標を定めて3ヶ月ごとにその人の目標に到達しているかを確認し、していなければ違う治療を組み合わせて提供していくことで寛解を目指そうという治療勧奨(T2T : Treat to Target)が近年まとめられました。しかしこのT2Tで設定されている関節は28カ所であるため本当に痛い部分が評価の対象にならない可能性もあり、患者さんが苦しんでいても評価としては治療の手を緩めてもいい状態になることがあります。
また、DAS(ダス)という指標があります。これは患者さん自身による痛みの訴えと関節、血液の検査を組み合わせて関節リウマチの症状を数値として表すものです。
私たちのように患者さんのベッドサイドにいる実地の医者とすれば、数値やデータ上では良くなっていても患者さんが苦しんでいるならばその症状を少しでも抑えてあげたい、抑えられない場合は当院にくることで、居心地の良さなどを感じていただくことで精神的に楽にしてあげられる存在になりたいと考えています。そのため当院ではT2TやDASを最重要視して治療をしているわけではなく、患者さんの症状が良くなるところまで治療を続けた結果として評価や数値が寛解に至っているというケースの方が多くなっています。
関節リウマチは
「1種類の飲み薬のみ」「生物学的製剤のみ」「2〜3種類の飲み薬の併用」「飲み薬と生物学的製剤との併用」
といったように治療方法を組み合わせていくことによって患者さんお一人お一人に合わせた治療が可能なので治療と向き合い、早期にご自身にあった治療方法を見つけることが大切です。
例えば発病して6ヶ月〜2年以内といった早期の関節リウマチの方は、治療をすれば治癒する可能性が20%以上あります。また10年以上関節リウマチで苦しまれている方も、正しい治療により痛みが和らいで楽になりますし、関節破壊の進行も止められます。
関節リウマチの診断がついたら、できるだけ早く抗リウマチ薬(DMARDs)による治療を開始し3ヵ月後に効果判定を行います。抗リウマチ薬にはメトトレキサート、サラゾスルファピリジン、ブシラミン、ミゾリビン、タクロリムスなどがありますが、まず最初に投与するべき治療薬はメトトレキサートです。
効果判定でメトトレキサートの効果が不十分と判断された場合は生物学的製剤の導入が、その他の抗リウマチ薬を使用していた場合はメトトレキサートに変更することが望ましいと考えられています。
また、リウマチ薬・生物学的製剤による治療効果があらわれるまで数ヶ月かかるため、即効性のあるステロイドや非ステロイド系消炎鎮痛剤(NSAIDs)の併用をして痛みの軽減を図ります。
内科的治療を行なっても関節炎がコントロールされず整形外科的な合併症が出た場合や、関節破壊が高度になり日常生活において支障をきたすようになると手術療法が行われます。 手の伸展筋腱断裂・ベーカーのう胞などの合併症の外科的処置や、生物学的製剤などで効果が不十分な場合は、関節滑膜除去術を行うこともあります。他の療法としては膝や股関節などの人工関節置換術、頚椎脱臼などの関節固定術、関節形成術があります。
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