さらに進化した腹腔鏡下胃切除術



2または3ポートによる完全腹腔鏡下胃切除術はさらに進化した腹腔鏡手術です。

従来の腹腔鏡補助下胃切除術について
(図1)

 腹壁に5mm〜12mmの穴を5か所開けて、その穴(ポート孔)よりカメラと手術器具を挿入し、胃がんを含む胃を切除します。切除された胃はみぞおちのところに開けた4cmの小さな創から取り出します。胃を切除した後に食べ物の通り道を作る手術(再建)は、腹腔鏡下および小開腹創から行っています。

従来の腹腔鏡補助下胃切除術
図1 従来の腹腔鏡補助下胃切除術
 
 

2または3ポートによる完全腹腔鏡下胃切除術について
(図2)

 

胃がん手術の原則は、安全にかつ癌をしっかり切除することです。この原則を厳守したうえで、新しい技術によりできるだけ創を小さくする努力をしてきました。1か所の創だけでも胃切除は可能ですが、操作性がかなり悪くなります。あくまでも癌の手術であるため、最終的にたどり着いたのがこの術式です。おなかに2か所または3か所の創をつけるだけで、操作性を落とすことなくリンパ節郭清を含む胃切除術が可能となっています。写真でご覧のように創は驚くほど小さくなります。では、切除した胃はどこから取り出すのでしょうか?おへその創をうまく広げれば、そこから胃を取り出すことでき、術後に創もほとんど目立ちません。
実際には、ミニループレトラクターという手術器具で胃を持ち上げ、手術台を大きく傾けて重力を利用することで、本来、必要としていた第一助手(前立ちと呼んでます)を必要とせず、手術を行うことが可能となりました。胃切除とリンパ節郭清は従来通り、超音波凝固切開装置、ベッセルシーリングシステムなどの特殊な手術器具を用いて行います。胃の切離と吻合は自動吻合器を用いてすべて腹腔鏡下に(おなかの中で)行います。
この術式では創は最小限になりますが、癌切除の質が落ちることはありません。もし私自身が胃がんになったら、自分も受けたい手術です。

従来の腹腔鏡補助下胃切除術
図2 2または3ポートによる完全腹腔鏡下胃切除術
 
手術風景

 手術風景

 
実際の手術画像

 注)ここから先のページでは、実際の手術画像をご覧いただくことができます。このような画像で気分が悪くなる可能性のある方はお気をつけください。

 

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