
はじめに
脳梗塞には2つのタイプがあります。動脈硬化が徐々に進行して血管が細くなるために起きる脳血栓症と、不整脈や心臓の弁膜症により心臓の中にできた血栓が脳に飛んで起きる脳塞栓症です。
この2つは良く似ていますが、予防のための治療法が違うため区別して診断することが必要です。
症状
急に起きた半身麻痺、言葉が話しにくい、意識障害、などが代表的な症状です。
脳梗塞を起こした場合にはこういった症状が続くことが多いのですが、一旦症状が出ても、数分から数時間ですぐに戻ってしまうことがあります。これは一時的に詰まった脳の血管が再開通したことを示しています。これを一過性脳虚血発作(TIA: transient ischemic attack)と呼びます。
症状が戻るため安心しがちですが、この一時的な症状は脳梗塞の危険信号で、そのうちの約3割が脳梗塞に移行するとされているため注意が必要です。
診断法
- 1.頭部CT、頭部MRI
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CTもMRIも脳の輪切りを撮影して診断する検査法です。
CTはレントゲン、MRIは磁石を原理にしています。基本的には注射などをせず寝ているだけで診断が可能です。脳梗塞の発症直後はMRIの方がより明確に病変を写し出すことができます。
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▼頭部CT
搬入直後のCTでは脳梗塞を認めません。
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▼頭部MRI
拡散強調画像では中大脳動脈領域に広範な脳梗塞を認めます。
- 2.頭部、頚部CTA (CTアンギオ)、MRA (MRアンギオ)
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さらに詳しい検査法として、脳や頚部の血管だけを抜き出して画像化することが可能です。
CTの場合には造影剤を点滴しながら行います。これらの検査により血管の細い部分や詰まっている部分を診断することが可能です。
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▼CTA
CTAでは立体的な画像が得られます。
このCTAでは矢印の部分で中大脳動脈分枝閉塞を認めます。
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▼MRA
MRAは一般的にCTAより画質が落ちますが、造影剤なしで図のような画像が得られます。
本例では矢印の部分で中大脳動脈の閉塞を認めます。
- 3.脳血管撮影(脳血管造影)
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脳血管撮影はCTやMRIの結果、異常が疑われる場合に最終診断として行われる検査法です。
足の付け根の大腿動脈、肘の内側にある上腕動脈、または手首の撓骨(とうこつ)動脈からカテーテルと言われる管を入れて、そこから造影剤を注入して行う検査法です。
カテーテルを入れる操作にわずかにリスクをいますが、最も確実な診断法です。最近は3次元撮影ができるようになり、コンピューター画面上で自由に回転させながら目的の血管や病変を詳細に観察することが可能です。
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▼脳血管撮影
矢印の部分で中大脳動脈の閉塞を認めます。
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▼3D-DSA
3次元の脳血管撮影です。矢印の部分で中大脳動脈が閉塞しています。
- 4.脳血流検査
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脳の血管が細くなったり詰まっている場合には脳の血のめぐりがどの程度悪いかを判定する必要があります。
この検査法は脳血流を画像化することで、脳のどの部分にどの程度の血流があるかを知ることができます。
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原因(脳梗塞を起こす主な疾患)
1.頚動脈狭窄症
2.脳動脈狭窄症(頚動脈以外)
3.脳動脈閉塞症(急性期)
4.脳動脈閉塞症(慢性期)
1.頚動脈狭窄症(けいどうみゃくきょうさくしょう)
頚動脈狭窄症ページをご覧ください。
2.脳動脈狭窄症(頚動脈以外)
頚動脈以外の血管も脳梗塞の原因となります。
椎骨動脈、脳内の動脈(中大脳動脈など)がこれにあたります。これらの血管が細くなった場合にもバルーンカテーテルによる血管拡張術やバイパス術等が行われることがあります。しかしその有効性についてはまだ確認されていません。
このため、施設やドクターにより治療適応が違っているのが現状です。今後、いろいろな研究がなされていけば、これらの治療がどのような状態で有効かがはっきりすると考えられます。
[ 脳動脈狭窄症(頚動脈以外)の治療法 ]
- A.経皮的脳血管形成術
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頚動脈ステント留置術と同じような治療が、他の血管にも行われます。方法はほぼ同じで用いるバルーンやステントのサイズが違うぐらいです。
▼経皮的脳血管形成術
- B.バイパス術(頭蓋内血管吻合術)
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脳の血管が細く、脳の血流が高度に低下している場合には皮膚の血管を脳の表面につなぐバイパス術が有効であることが日本の研究で証明されました。全身麻酔で行う手術ですが、安全性の高い治療法です。
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3.脳動脈閉塞症(急性期)
脳や頚部の血管が細くなり閉塞することにより脳梗塞を起こします。
一方、心臓の中に形成された血栓が脳に飛ぶことを脳塞栓といいます。いずれにせよ血管が詰まったままになると、死亡したり重度の後遺症を残す確率が高くなります。
発症して短時間であれば点滴やカテーテルを用いた血栓溶解療法が可能であるため、すぐに病院を受診すべきです。
[ 脳動脈閉塞症の治療法 ]
- A.超急性期(発症後3時間以内)
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脳梗塞を発症して短時間であれば、薬で血栓を溶かす治療ができるようになりました。
この薬はtPA (組織プラスミノーゲンアクチベーター)と呼ばれており、発症後3時間以内であれば点滴で投与することができます。一定の効果を持つ治療法でマスコミにも盛んに取り上げられています。しかし、発症後3時間を過ぎてしまうと行うことができないのが欠点です。
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▼tPA静注前
左中大脳動脈の枝が閉塞しています。
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▼tPA静注後
tPAの点滴を行って1時間後の撮影です。
閉塞していた左中大脳動脈の枝が再開通しています。
- B.超急性期(発症後6時間以内)
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つまった脳の血管に薬を直接注入することによる血栓溶解療法も可能です。
この治療法は発症後6時間まで行うことができます。脳内の血管までマイクロカテーテルを入れる必要があるため、脳血管内手術のテクニックが必要です。
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▼術前
矢印の部分で内頚動脈が完全閉塞しています。
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▼術後
閉塞していた内頚動脈が完全再開通しています。
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4.脳動脈閉塞症(慢性期)
頚動脈や脳動脈が閉塞している患者さんのうち、脳の血流が高度に低下している場合には、その後に脳梗塞を起こすことがあります。
このような場合にはバイパス手術が有効です。
[ 脳動脈閉塞症の治療法 ]
- バイパス術(頭蓋内血管吻合術)
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脳の血流が悪い場合にはこの治療法が有効です。頭の皮膚の血管を脳の表面の血管につなぐ治療法です。
治療の合併症が少ない治療法で、比較的安全です。最近、日本で行われた研究で脳梗塞の予防効果が証明されました。
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