吉村紳一先生のウェブサイト DR.SHINICHI YOSHIMURA'S WEB SITE

本サイト内の検査画像等は患者さんまたはご家族の承諾を頂いた上で掲載しています。

※画像クリックで、説明ムービーをご覧いただくことができます。

ドクターの紹介 ドクターの紹介

はじめに

通常、心臓から流れてきた血液は動脈から徐々に細い血管に流れていき、毛細血管になった後、静脈に流れていきます。
この病気は脳の血管の一部に奇形があり、動脈と静脈が直接つながってしまっているために、出血やけいれんを起こします。
また最近ではMRIなどの検査で偶然発見されることも多くなっています。



症状

最も多いのは出血です。脳出血やくも膜下出血を起こし、MRI、MRAや脳血管撮影などの精密検査を受けて見つかります。他にはけいれん発作や頭痛発作などで発症し、やはりMRIなどで発見されることがあります。

出血が起きると、突然の激しい頭痛と吐き気、嘔吐がおきます。脳内出血を伴う場合には、半身麻痺や言語障害、視野異常などがおきます。重症例では意識を失ってしまいます。



診断法

CT、MRI、脳血管撮影などで診断されます。



治療法

脳動静脈奇形の出血率は年間3%、出血してから1年間は6%と言われています。
脳動静脈奇形に対する治療法には以下のようなものがあります。

1.開頭手術
2.血管内手術
3.放射線治療(ガンマナイフ、ライナック、サイバーナイフ)
4.これらの組み合わせ


1.開頭手術

この方法が最も確実な治療法です。
ただし脳動脈瘤と違い、脳動静脈奇形は脳内に存在するため脳を全く壊さずに手術を行うことは不可能です。このため脳の重要な部分に接している場合には治療合併症が多くなり、場所によっては治療不可能ということにもなります。また一般的に脳動静脈奇形の手術には高度な技術を要することが知られています。


2.血管内手術

この治療法単独で完全治癒させることは困難なことが多く、主に手術や放射線治療の前処置として行われます。
日本では正式に認められたオニキス(Onyx)という塞栓物質がありますが、それ以外にもヒストアクリル(NBCA)、コイル、粒子塞栓物質等が用いられています。


3.放射線治療(ガンマナイフ、ライナック、サイバーナイフ)

頭にフレームなどをつけて固定し、狙った部位だけに多方向から集中的に放射線を当てる定位放射線治療という方法で行われます。
直径3センチ以下の病変であれば高い確率で治癒します。しかし、それより大きいものでは治癒率が低下します。
一般に放射線治療後、治癒までには3年前後を要します。



▼照射前

照射前

(*クリックで拡大します。)

矢印の部分に脳動脈奇形を認めます。

▼照射後

照射前

(*クリックで拡大します。)

定位放射線治療2年後の撮影です。
脳動静脈奇形は完全に消失しています。


4.以上の組み合わせ

血管内手術と開頭手術、血管内手術と放射線治療の組み合わせがよく行われます。
手術の場合には、手術で見えにくい深部の血管を、放射線の場合には全体のサイズが小さくなるように塞栓します。これらの組み合わせは有効で安全性が高く、現在我々が最もよく行う治療法です。