HOME
脳血管の病気
脳血管の治療
最新の治療
診療のご案内
プロフィール
脳の病気
脳動静脈奇形

はじめに

解説ムービー


脳出血は比較的高齢に多い病気ですが、若い方にも認めます。そういった場合には脳の血管に異常があることが多く、その中の一つがこの脳動静脈畸形(AVM)です。通常、心臓から流れてきた血液は徐々に細い血管に流れ、毛細血管を経由して、静脈に流れていきます。
この病気は脳の動脈と静脈が直接つながってしまっているために、動脈の血液が静脈に直接流れ込み、出血やてんかんなどを引き起こします。最近ではMRIなどで偶然発見される無症状のものも多くなっています。

脳動静脈奇形の症状

最も多いのは出血です。脳出血やくも膜下出血を起こした場合には、MRI、MRAや脳血管撮影などの検査を受けて診断されます。 一方、けいれん発作や頭痛発作の精密検査で診断されることもあります。
出血すると突然の激しい頭痛や吐き気、嘔吐を来たします。脳内出血の場合には、その場所に応じて、半身麻痺や言語障害、視野異常などが起きます。また、重症例では意識を失ってしまいます。

治療方法

脳動静脈奇形は年間出血率が約3%と言われており、重症の出血をきたす可能性もあるので、予防治療が行われることがあります。
方法は主に三つあります。

開頭手術

この方法が最も確実な治療法です。
ただし脳動脈瘤と違い、脳動静脈奇形は脳内に存在するため脳を全く壊さずに手術を行うことは不可能です。このため脳の重要な部分に接している場合には治療の合併症が多くなり、場所によっては治療不可能ということもあります。また一般的にこの手術には高度な技術を要します。

定位放射線治療

頭にフレームなどをつけて固定し、狙った部位だけに多方向から集中的に放射線を当てる治療法です。直径3センチ以下の病変であれば高い確率で治癒しますが、それより大きいものでは治癒率が低下します。また、一般に治療後、治癒までには3年前後を要します。

血管内治療

カテーテル(細い管)を用いて、異常な血管を詰めてしまう治療です。液体塞栓物質として認可されているのはオニキス(Onyx)ですが、それ以外にもヒストアクリル(NBCA)、コイル、粒子塞栓物質等が用いられています。低侵襲な治療法ですが、この方法で完全治癒が得られるのは全体の1-2割しかないとされています。このため、主に外科手術、あるいは定位放射線手術の前処置として行われることが多くなっています。

以上の組み合わせ

最も多いのは以上の治療を組み合わせることです。例えば血管内治療で血管の一部を詰めてから外科手術で取る、または放射線をかける、というケースが一番多いと思います。ただし、最近では無症状のものに対する治療の有効性には議論があります。このため治療を受ける際には、この疾患の治療経験の多い専門医とじっくり相談することをお勧めします。