吉村紳一先生のウェブサイト DR.SHINICHI YOSHIMURA'S WEB SITE

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ドクターの紹介

本サイト内の検査画像等は患者さんまたはご家族の承諾を頂いた上で掲載しています。



はじめに

もやもや病は、頚動脈(けいどうみゃく)が頭の中で徐々に細くなったり(狭窄)、つまったり(閉塞)する病気です。
血流不足を代償するため脳の細い動脈が太くなり、脳血管撮影でタバコの煙が立ち昇っていく「もやもや」した様子に似ているため「もやもや病」と呼ばれています。日本人に多い病気です。



症状

脳の血流が足りない状態(脳虚血)による脳梗塞や一時的な発作、またはもやもや血管が破綻することによる脳出血で発症します。
子供は脳梗塞が多く、大人は脳梗塞と脳出血が半々程度に起きるとされています。

症状としては、突然の頭痛・嘔吐、失神発作、半身麻痺や知覚異常、けいれん、言語障害、視野異常などがあります。

脳虚血発作のうち症状が一時的ですぐに元に戻る場合を「一過性脳虚血発作」と言います。
1-2分から数時間以内に症状がもどることが多いとされています。
また、もやもや病の発作は、過呼吸をきたすような動作で誘発されることで有名です。

たとえば泣いた時や大声を出した時、ラーメンなどをふうふうと吹いたり、笛などの吹奏楽器の演奏、激しい運動後などに発作を起こします。
これは過呼吸で血液中の二酸化炭素濃度が低下して脳の動脈が縮み、脳血流が減少するためです。発作を繰り返す場合には脳梗塞になる可能性が高いので専門医の診察が必要です。

一方、脳出血の場合には、その部位に応じた症状が出ます。
半身麻痺、言語障害、視野異常、けいれん、頭痛と嘔吐などです。重症の場合には意識障害を来たします。出血のタイプとしては脳内出血、脳室内出血、くも膜下出血があります。
出血は前ぶれなく突然起きることが多く、重度の場合には生命を失ったり、後遺症の確率が高くなります。



診断法

主にMRI、脳血管撮影などで診断されます。
MRIやMRAで診断が可能なことが多いのですが、もやもや血管はうまく描出されにくいため、通常の動脈硬化性病変と診断されたり、病変自体が見逃されることがあります。
従って確定診断に脳血管撮影を必要とすることがあります。



▼MRA

MRA

(*クリックで拡大します。)

両側の内頚動脈の描出が不良です。
よく見ると矢印の部分に、
もやもや血管を思わせる陰影があります。

▼脳血管撮影

脳血管撮影

(*クリックで拡大します。)

右頚動脈撮影では右内頚動脈は閉塞し、その先に、もやもや血管の発達(矢印)を認めます。


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治療法

1.急性期治療

脳虚血の場合は、脳細胞を保護する作用のある点滴や血栓が出来にくくする点滴が行われます。緊急手術を行うことはまずありません。
一方、出血症例でも、まず脳圧を下げる点滴などによる治療が行われます。脳室内出血が脳脊髄液をせき止めている場合には細い管を脳の水の部屋に入れる手術(脳室ドレナージ術)が行われます。
大きな脳内出血に対して開頭による血腫除去術を行う場合も稀ながらあります。

2.慢性期治療
2-1.[ 虚血例 ]

A.内科的治療

抗血小板薬、抗てんかん剤などの投与が行われます。

B.バイパス手術

虚血発作の再発予防として、バイパス術(吻合術)が有効とされています。
バイパス術には頭の皮膚の血管を脳の表面の血管(中大脳動脈、前大脳動脈)に顕微鏡下で直接つなぐ「直接吻合」と脳を包んでいる膜(硬膜)や側頭部の筋肉などを脳の表面に置き、術後に徐々に小さな血管のつながりが形成されるのを待つ「間接吻合」があります。直接吻合と間接吻合と組み合わせるのが最も効果的と考えられます。
また、間接吻合だけ行う方法や、頭の骨に孔をあけるだけといった手術も行われていますが、上記の方法に比べ確実性に欠けます。

2-2.[ 出血症例 ]

A.バイパス手術

脳出血はもやもや血管に負担がかかり破綻するのが原因と考えられており、この負担を軽減するために多くの施設でバイパス手術が行われてきました。
現在、その有効性を確かめるための共同研究が行われています。