吉村紳一先生のウェブサイト DR.SHINICHI YOSHIMURA'S WEB SITE

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ドクターの紹介

本サイト内の検査画像等は患者さんまたはご家族の承諾を頂いた上で掲載しています。

 

はじめに

近年、増加している脳梗塞の原因の一つです。
脳に向かう血管のうち最も太いのがこの頚動脈です。あごの下にドクドクと触れる血管です。ここが動脈硬化で高度に細くなると、脳梗塞の原因となります。脳梗塞を起こして見つかった場合には薬だけで様子を見るよりも、厚くなった内膜(ないまく)を取り除く「頚動脈内膜はくり術」の方が脳梗塞の予防効果が高いことが証明されています。従って欧米ではこの手術が非常にたくさん行われています。
しかし日本では種々の要因でそれほど普及しておらず、切らずに治療を行う「頚動脈ステント留置術」の方が多く行われています。



症状

頚動脈狭窄症による症状として、半身マヒ、言語障害、顔面のマヒなどが起きます。こういった症状が一時的にでも起こった場合には、頚動脈に狭窄がないかどうか超音波検査やMRIでチェックを受けましょう。
頚動脈狭窄症は診断までに症状を起こしたことがあるかどうかで、その後に再発作を起こす確率が大きく違うため、無症候性病変と症候性病変に分けられます。 この二つは同じ病気でありながら、脳梗塞を起こす確率が大きく違うため、分類する必要があります。


1.無症候性病変

頚動脈狭窄症による症状が全くなく、脳ドックや外来での超音波検査で見つかった場合には無症候性病変と呼ばれます。この場合には脳梗塞を起こす確率は年間2%程度と報告されています。

2.症候性病変

頚動脈狭窄症により脳梗塞や一過性脳虚血発作を起こした場合には症候性病変と呼ばれます。この場合には内服治療を受けても、年間13%という高い確率で再発作を起こすことが知られています。



診断法

1.頚動脈エコー

頚動脈の狭窄を診断するための最も一般的な方法で廉価ですので、最初に受けるべき検査です。造影剤も使わないため、体にやさしい検査法です。狭窄率やプラークの質まで診断することが可能です。 しかし検査する人の技術の差が出やすく、石灰化が強い病変では良い画像を得にくいという欠点もあります。

2.MRA

MRIにより血管を写し出す方法です。比較的高価ですが、造影剤を使わず頭蓋内血管まで含めた客観的画像が得られるため、頚動脈エコーとともに第一選択として行われます。また最近ではプラークの質的診断にも役立つことが分かってきました。

3.CTA

造影剤を点滴しながら行う検査です。画質は上記の二つより良く、血管を立体的に写し出すことが可能です。また頚部だけでなく、大動脈などの胸の辺りまで同時に検査が可能です。また血管の石灰化(堅い部分)が明瞭に描出できるため精密検査として行われます。 ただし造影剤による副作用が起きることがあるため、喘息や重度のアレルギーのある方、腎臓の悪い方には検査を行いにくいという欠点があります。

4.頚動脈撮影

カテーテルと造影剤を用いた検査法で最も侵襲的ですが、その分、画質が良く、詳細な検査が可能です。発作を起こした方や手術が予定される場合に良く行われます。

患者さんの状態に合わせて、以上の4つの検査のうち、いくつかが選んで行われます。


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治療法

頚動脈狭窄症の場合には、3つの選択肢があります。

1.内服治療
2.頚動脈内膜はくり術(CEA)
3.頚動脈ステント留置術(CAS)

1.内服治療

抗血小板薬:

血液をさらさらにして血栓ができにくい状態にすることで脳梗塞を予防します。狭窄が軽度の場合にはこの薬で十分に予防効果があります。ただし狭窄が高度の場合には、こういった薬を内服していても、症候性病変では年間13%、無症候性でも年間2%程度の脳梗塞を起こす確率がありますので、頚動脈内膜はくり術や頚動脈ステント留置術を行う必要があります。
スタチン:
動脈硬化を改善する作用があると言われています。私たちの研究でも、頚動脈に狭窄のある患者さんがスタチン(ストロングスタチン)を内服すると、わずか半年で動脈硬化の安定化が認められます。
その他:
糖尿病治療薬や降圧剤のうち、動脈硬化安定作用が報告されているものがあります。これらの作用は強いものではありませんが、脳梗塞予防効果が期待されています。

2.頚動脈内膜はくり術(CEA)

細くなった頚動脈を直接手術で切開し、動脈硬化で厚くなった壁を取り除く手術です。
この治療法は血管の狭窄が高度な場合に、薬だけによる治療よりも脳梗塞の予防効果が高いことが証明されています。

3.頚動脈ステント留置術(CAS)

この治療法は切らずに頚動脈を太くする方法です。
金属製のメッシュ状の筒(ステント)を用いて、細くなった頚動脈を広げます。血管の中から行う手術であるため血管内手術と呼ばれています。 頚動脈内膜はくり術の難しい症例に有効性が証明されており、日本では過半数の患者さんにこの治療が行われています。
最近、頚動脈内膜はくり術(CEA)が可能な患者さんでも、同程度の有効性が得られることが示され、さらに増加しつつあります。 ただし血管の壁が極めて堅い場合、あるいは極めて柔らかい場合には合併症率が高くなることが予想されるため、内膜はくり術が勧められます。



▼頚動脈内膜はくり術(CEA)

内膜はくり術

(*クリックで拡大します。)

▼頚動脈ステント留置術(CAS)

頚動脈ステント留置術

(*クリックで拡大します。)


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