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海綿状血管腫

はじめに

解説ムービー


海綿状血管腫は、腫瘍の「腫」という文字が病名の最後に付くために脳腫瘍の一つと思われがちですが、実際には違います。血管の成分が生まれつき脳内に紛れ込んだだけで、腫瘍のように細胞が分裂して大きくなったり、悪性化することはありません。 医学的には「過誤腫(かごしゅ)」と呼ばれます。

症状

最近はCTやMRIで無症状のものが見つかることが多くなりましたが、出血やてんかん発作を起こして見つかることもあります。また、出血を繰り返すと血管腫の周辺に出血が溜まって袋のようになり、脳の圧迫による麻痺や言語障害が出ることがあります。

診断

MRIが診断に有効です。特に出血成分をはっきりと映し出すT2* (ティーツースター)という撮影法が最も敏感な方法ですが、T1強調画像、T2強調画像等、一通りすべての方法で撮影を行い総合的に判断する必要があります。海綿状血管腫は脳のどの場所にも認められますが、一般的には大脳皮質下と脳室壁周囲、脳幹部に多いとされています。また、大型の血管腫には静脈奇形を伴うことが多いと報告されています。

治療

出血などにより症状が出た場合には、外科手術が行われることがあります。

一方、血管腫の場所によっては手術がハイリスクな場合もありますので、この病気の治療経験の多い医師とよく相談してください。

無症候性病変

偶然発見されたものには、通常治療の必要はありません。

症候性病変

出血などにより神経症状をきたしていて、脳の表面に近い場所にあり(表在性)、外科的手術が比較的安全と考えられる場合には外科手術が考慮されます。これは脳幹部でも同様で、表在性であれば手術が考慮されます。

手術

術中モニタリングやナビゲーションなどを併用して摘出手術が行われます。ただし、運動野や脳幹部など、極めて重要な機能のある部位の病変は、術後に後遺症をきたすリスクが高いため、治療をするかどうかについて、専門医と十分相談する必要があります。

放射線治療

定位放射線(ガンマナイフ、Xナイフ、サイバーナイフ等)には出血防止効果があるとされていますが、合併症のリスクがあるため、外科的治療が゙困難な場合にのみ考慮されます。