くも膜下出血

本サイト内の検査画像等は患者さんまたはご家族の承諾を頂いた上で掲載しています。

はじめに

くも膜下出血は、主に脳の動脈にできたこぶ(瘤)が破裂して脳の周囲(くも膜の下)に出血が起きる病気です。
破裂直後に重篤な状態になることが多く、手術などを行っても、もとどおりになるのは全体の3分の1程度と言われています。また動脈瘤から再出血することが多く、出来るだけ早く動脈瘤の治療を行うことが重要です。


症状

突然の激しい頭痛(これまで経験した事がないような頭痛、ハンマーで殴られたような頭痛)が典型的な症状です。
ただし重症例では突然倒れてしまいます。脳内血腫を合併する症例では半身麻痺を合併することがあります。


診断法

1.頭部CT

この検査でくも膜下出血のほとんどが診断できます。

▼頭部CT

頭部CT

矢印の部分にくも膜下出血を認めます。

▼頭部MRI

2.腰椎穿刺(ようついせんし)

ごく軽微な出血や、発症から時間が経っていて判断が難しい場合には、腰椎穿刺(ようついせんし)といって腰から脊髄液を検査して出血の有無を確認することがあります。

3.頭部CTA (CTアンギオ)

出血の原因を調べるために造影剤を点滴して行います。
くも膜下出血ではMRAよりも画像が鮮明であるCTAの方がよく行われています。
ほとんどの動脈瘤を診断することが可能ですが、CTでは骨も一緒に写ってしまうため骨の近くの動脈瘤や解離性動脈瘤などは診断できない事があります。

▼CTA

CTA

左右の内頚動脈に動脈瘤を認めます

4.脳血管撮影(脳血管造影)

脳血管撮影は最終診断として行われます。
カテーテルを入れる操作にわずかにリスクをいますが、最も確実に出血源を診断できます。最近は3次元撮影で病変を詳細に観察することが可能です。

▼脳血管撮影

脳血管撮影

3次元の脳血管撮影ではさらに周辺の血管との関係が明らかになります。

▼3D-DSA術前

3D-DSA術前

コイルにより動脈瘤が完全に塞栓されています。

▼コイル塞栓術後

コイル塞栓術後

コイルにより動脈瘤が完全に塞栓されています。

▼3D-DSA術後

3D 術前

留置されたコイルを赤色で表示しています。動脈瘤の残存はなく、完全塞栓されています。

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原因(くも膜下出血を起こす主な疾患)

くも膜下出血の原因として最も多いのは脳動脈瘤の破裂ですが、以下のものも原因となることがあります。

1.脳動脈瘤
2.脳動静脈奇形
3.もやもや病
4.その他(頭部外傷、脳腫瘍など)


[ 治療法 ]

くも膜下出血の原因が破裂脳動脈瘤である場合には、放置すると50-70%が再破裂で命を失うと言われています。
このため何らかの止血処置が必須です。現在、開頭手術によるクリッピングと血管内手術によるコイル塞栓術の2つがあります。

A.開頭手術(クリッピング

最も確実な止血法で、歴史があります。
頭の骨をあけて顕微鏡を使って脳のすきまを広げ、動脈瘤の根元にクリップをかける方法です。動脈瘤の形に関係なく完全な処置が出来ます。
とくに動脈瘤のねもと(ネック)の広い動脈瘤や動脈瘤から枝がでているようなケースではクリッピングが最善の治療法となります。また動脈瘤の処置が完全なので、再治療が不要なこと、退院後の外来通院が早期に不要となることがこの治療の利点です。


B.血管内手術(コイル塞栓術

この治療法は「切らない脳動脈瘤治療」として最近注目を浴びています。
頭をあける事なく動脈瘤の治療が出来るため、患者さんの体にやさしい治療です。局所麻酔でも治療が可能です。以前にはクリッピングが不可能な動脈瘤のみに行われていました。
しかし最近ではどちらも可能な場合には、コイル塞栓術の方が治療成績が良いことが報告されセンセーションを巻き起こしました(ISAT, Lancet 2002)。現在、米国では全体の50%の患者さんに、欧州では70%の患者さんにこの治療がされていますが、日本では20%強であり今後の普及が期待されています。

コイル塞栓術においては動脈瘤のネック(くび)の広さが治療の安全性、難易度に大きく関わります。ネックが広いと、コイルが動脈瘤からはみ出てしまい、正常な血管自体も詰まってしまうからです。最近ではバルーンカテーテルを併用することで、従来は治療が難しかったネックの広い動脈瘤もある程度治療できるようになりましたが、やはりネックの狭い動脈瘤がもっとも良い適応であることに変わりはありません。。

以上のように破裂脳動脈瘤の治療には現在2つの方法がありますが、これらを良い治療適応で選択することが、良好な治療成績につながると考えられています。