吉村紳一先生のウェブサイト DR.SHINICHI YOSHIMURA'S WEB SITE

本サイト内の検査画像等は患者さんまたはご家族の承諾を頂いた上で掲載しています。

※画像クリックで、説明ムービーをご覧いただくことができます。

ドクターの紹介 ドクターの紹介

 

  この治療法は「切らない脳動脈瘤治療」として最近注目を浴びています。患者さんの体にやさしい治療です。局所麻酔でも治療できますし、体にメスを入れずに動脈瘤が治ってしまいます。2002年には欧州でランダム化試験が行われ、破裂脳動脈瘤においては、コイル塞栓術の方が開頭術よりも治療成績が良いことが発表され、一大センセーションを巻き起こしました(ISAT, Lancet 2002)。現在、米国では全体の50%の患者さんに、欧州では70%の患者さんにこの治療がされています。
  しかし日本では未だ30%程度しかこの治療がされていません。もっと普及させたいところです。



■対象となる患者さん

  動脈瘤のネックが狭い場合が良い適応とされています。
  コイル塞栓術においては動脈瘤のネック(入り口)の広さが治療の難易度に深く関係します(図1)。

▼図1

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ネックが狭い場合には、動脈瘤の中にプラチナコイルをつめるだけでうまく治療することが出来ます(図2左)。
しかしネックが広い場合には、動脈瘤からコイルが動脈瘤からはみ出してしまうのです(図2右)。

▼図2

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このような理由からネックの狭い動脈瘤が良い適応とされるのです。
  一方、最近ではバルーンカテーテルやステントを併用してネックの広い動脈瘤を治療することが可能となりました(図3)。

▼図3

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とくにステントを併用する方法はこれまでのコイル塞栓術の適応を大きく変えました。動画を見て頂くとその方法がよくご理解頂けると思います(動画1)。 ただしこの方法には欠点もあります。例えば小さな動脈瘤や血管が細い場合には適応がないことや、留置したステントに血栓が形成されないように長期間、抗血小板薬(血液をさらさらにする薬)を内服する必要があることなどです。
コイル塞栓術の適応は徐々に拡大しつつありますが、様々な条件を考慮して慎重に適応を考える必要があります。



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▼動画1:ステント併用コイル塞栓術

※画像クリックでアニメーションをご覧いただけます。
      (資料提供:ジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社)



■手技の様子、実績

  治療法はシンプルです。まず足の付け根から管を入れ(図4A)、その中にさらに細い管(マイクロカテーテル)を挿入し(図4B)、動脈瘤の中まで誘導します。

▼図4

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  その後、プラチナで出来た柔らかい金属のコイルを動脈瘤の中に入れていき、瘤をつめてしまいます。血液が入らなくなったら終了です(図5)。いずれ動脈瘤の中は血栓化してしまい、破裂しなくなります。

▼図5

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  図6は実際に治療を行った患者さんの写真です。図6Aが治療前。図6Bでは動脈瘤が完全に塞栓されているのがよくわかります(→部分)。治療後は2-3日で退院です。翌日に退院する患者さんもいるほど、体に負担の少ない治療です。

▼図6

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  私は平成4年からこの治療に関わりはじめ、これまで1000例以上にこの治療を行ってきました。治療成績を良くするためにさまざまな工夫を凝らし、治療合併症(重度後遺症・死亡)は1%未満を維持しています。
  一方、ステントを併用することで、従来は治療困難とされる患者さんが治療できるようになりました。例えば大型動脈瘤のうちでも深部に存在するものは外科手術のリスクが極めて高いことが知られています。こういった症例についてはステントを併用した血管内治療を行っています。図7は他施設で治療困難とされながら、Y字型にステントを留置することでうまく治療できた症例です(図7A-C)。術後も再発を認めず、経過良好で元気に過ごされています。ステントの併用のみで治療が困難な場合にはバイパス術を併用したハイブリッド手術も行っています。

▼図7

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手技の様子1 手技の様子2 手技の様子3

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